
<宮里藍インビテーショナル Supported by SUNTORY 初日◇27日◇サンヒルズカントリークラブ EASTコース(栃木県)◇6229ヤード・パー72>
日米通算24勝の宮里藍の名が冠につくジュニア大会が27、28日の2日間の日程で行われている。第6回となる今回は大会から推薦を受けた中学1年〜高校2年生の女子選手34人が出場。36ホールのストロークプレーで順位を競い、上位5人には、国内女子ツアー「宮里藍サントリーレディスオープン」の主催者推薦選考会出場権が付与される。
その初日となった27日のラウンド後には、宮里自身が学んできたメンタル・トレーニングメソッド「Vision54」のレッスン会も行われた。この日、体調不良で会場に来られなかった宮里はリモートで参加。そして兄の宮里聖志が司会を務めたレッスン会には、今回初めてゲストも招かれた。
それが2012年ロンドン五輪のバドミントン女子ダブルスで銀メダルを獲得した藤井瑞希さん。垣岩令佳さんとの“フジカキペア”で知られたメダリストで、宮里と日頃から親交が深い縁もあって“登壇”が実現した。
開幕前日の26日にも同様のレッスン会が行われていたのだが、その時の「プレー中の感情を把握する」というテーマを基に、この日は『フィードバックすることの重要性』が説かれた。「良かったこと」、「改善できること」、「どのようにやればいいか」を書き出すことで、客観的に自己分析を行ったり、成果につなげる方法を伝授。参加した選手たちは、みな真剣に耳を傾けた。
宮里は「私もみなさんと同じくらいの年齢の時には、ピンだけを狙う攻撃一辺倒だった。この考え方は将来的な知識の一つとして受け取ってもらいたい」という想いを込め“熱血指導”。現在、コーチ業も行う藤井さんも、「私は(プレーで)良かった部分も、しっかり理由まで深掘りして『なんで?(その結果になったのか)』と考えることを毎日、繰り返していました」など、自身の体験談を伝えた。選手からの質疑応答も、宮里きょうだい、藤井さん全員で、ひとつひとつ丁寧に答える姿が印象的だ。
宮里自身、ドライバーイップスに悩んでいた米ツアー2年目から指導を受けはじめ、実践してきたメソッドは、その後の世界ランク1位戴冠などの活躍に大きな影響を与えた。それに加え、今回はそこに宮里が「種目は違うけど、メダルを獲るには積み重ねが必要。新たな視点やきっかけになれば」という願いで呼んだゲストの言葉も加わった。
レッスン会の終わりには、藤井さんが持参した五輪銀メダルに実際に触らせてもらう時間も設けられた。パー72の設定において、全ホールでバーディを取るとトータルスコアが『54」になり、その達成も不可能ではないという考え方がそのメソッド名の由来。子どもたちに、新たな道筋を示す時間になった。(文・間宮輝憲)