『なんでミスしたのか…分かりませ~ん!』ルーキー寺岡沙弥香が初Vのため打ち立てた“アホなふり大作戦”

<NEC軽井沢72ゴルフトーナメント 2日目◇16日◇軽井沢72ゴルフ北コース(長野県)◇6625ヤード・パー72>

明るい笑顔が印象的なルーキーの寺岡沙弥香の表情が、ここ軽井沢ではより輝いて見える。ツアー自己ベストの「66」をたたき出し、7位からトータル10アンダーの首位タイに躍り出たのだから当然かもしれない。ただ、その理由が、実は他にもあった。
自己評価は「80点くらい」というラウンド。減点対象になったのは、1つ伸ばして迎えた5番パー4だ。「ボーっとしていて、一回、仕切り直そうと思ったけど、気づいたら打ってた」と“お先に”のパーパットを外した場面を「もったいない」と振り返る。それでも2日目の難易度が4番目で、「難しい」と考えていた6番パー4で175ヤードからの2打目を4メートルにつけると、「入れるぞ~」と気合を入れたパットを決め、バウンスバックに成功した。

17番では、「2打目、3打目がディボットに入って、どうすることもできなかった」という不運なボギーが来るも、再び直後の17番で2メートルのチャンスを決めて帳消しに。すると最終18番も、残り183ヤードからの2打目を7Iで右横3メートルにつけ、連続バーディで締めくくった。リーダーボードの最上位にいる自分の名前を見た時の感想を聞かれると、「面白いなって思った。そういうタイプじゃないので」とニヤニヤしている。

今週は“ある決めごと”をもってプレーしている。そのきっかけは、2試合前の「大東建託・いい部屋ネットレディス」。最終日を1打差の3位タイで迎え、初の最終日最終組入りした試合だ。ただ、この最終日に「74」と落とし、最終的には28位タイで終戦。「この時は勝ちたいというよりも、ポイントをたくさん稼ぎたいと思っていた」のだが、この敗戦を機に気持ちを改めた。「ポイントを稼ぎにいって稼げないのは、なんで? 気持ちか?」。そこで今週は「勝ちたい!」と“意識改革”をしている。

とはいえ、あまりプレッシャーをかけると、体はガチガチになる。そこで掲げているのが、「ミスした時ほどアホなふりをしていく」こと。

具体例はこうだ。2日目の1番ホール。ここでミスショットが出たのだが、寺岡の思考は『なんでミスしたのか…分かりませ~ん!』、『なんか知らんけど左に行った~』。理由など追及しなくていい…とにかく“アホ”になれ。「きょうは5回くらい『分かりませ~ん』を出しました」と、やっぱりニコニコしながら明かす。

この“アホなふり大作戦”では、こんな効果も期待している。寺岡のスタッツを見ると1ラウンド(R)、2Rの平均ストロークはともに『71.8462』なのだが、これが最終Rになると『72.25』まで落ち込む。それは本人も自覚するところで、原因については「ミスをすると考えすぎて、最終日になると18ホール中15ホールくらいは“気持ち悪い場所”になってる」と分析している。だからこそ、“ミスした時ほどアホなふり”が必要なのだ。

初めて首位から出る軽井沢での最終日は、もちろん最終組に入った。大東建託に続く、自身2度目。同組には同じく首位の柏原明日架と、元女王で1打差に続く鈴木愛がいる。実績ある先輩2人との注目ラウンドだが、これも「すごい人たちやと思うし、楽しみです」とプラスにとらえる。6月に優勝した入谷響をはじめ、同期の活躍も「誰かが優勝したから私も…とかはないんです。人は人、自分は自分です」と、意に介していない。ただひたすらに“アホ”を貫くのみだ。

「今週は実験なので」とニヤリ。それならば、ここまでの経過は良好と言えるだろう。「もうちょっとアホでいきます!」。大阪府高槻市出身の関西人らしい受け答えの数々は、何度も報道陣の笑いを誘った。その人柄も魅力バツグン。初優勝がかかる緊張感すら、『分かりませ~ん』で吹き飛ばせばいい。そして最高の実験結果を手にする。(文・間宮輝憲)

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