
<明治安田レディスゴルフトーナメント 事前情報◇16日◇仙台クラシックゴルフ倶楽部(宮城県)◇ 6642ヤード・パー72>
今週17日(木)から始まる国内女子ツアー新規大会の開幕前日、コースにクマが出没。そのとき行われていたプロアマ戦が中止になるという異例の事態が起こった。突然のできごとに、選手のみならずキャディ、関係者も困惑。会場では一時、さまざまな情報が錯綜した。
前週、地元・北海道で行われた大会でツアー初優勝を挙げた内田ことこは、前半、後半9ホールずつで選手を代える方式で行われたプロアマの後半組としてプレーするため、午前11時前にコースに到着。そこで大会運営スタッフから中止を告げられた。
その直後は「ビックリですね」とさすがに驚きを隠せない様子だった。地元は北海道南幌町だが、これまでクマを目撃した経験はなし。「ニュースでしかないですね。たぶん小学生くらいの時に、一度だけ(近くにクマが出没して)集団下校をしたことはあります」と、ここが最もその存在を感じる場所になったようだ。現時点では、あすからの本戦開催の可否について協議中の段階。優勝後の初戦とあって「やれたらいいな」とも話した。
大会のタイトルパートナーを務める明治安田所属の勝みなみも、後半組のメンバーとしてスタートした直後に中止を受け、クラブハウスに戻った。先週の「アムンディ・エビアン選手権」に出場していたため、帰国は前日15日。練習ラウンドもできていないため、コースチェックも兼ねてのプロアマだったが、1ホールをプレーしたのみで、本戦が実施されればぶっつけ本番になる。
「11番のティショットを打った後、前から運営の方が乗ったカートが来て『クマが出て中止です』と言われました。『どういうこと?』ってなって。ただゲストの方たちは、『珍しいことだし、記念だね』と前向きだったので良かったです」と振り返った。「あることを願って」と開催を祈るばかりだ。
今季1勝の入谷響は前半組でプレーしてた14番で、中止が告げられた。「びっくりして、すぐに戻りました」と、19歳ルーキーにとっても青天の霹靂(へきれき)。これまでクマが原因で大会などが中止になったという経験も「ありません」。まさかの事態になったが、クラブハウスでは落ち着いた表情も浮かべていた。
会場の仙台クラシックゴルフ倶楽部の副支配人・美濃秋伸氏によると、コース付近でのクマの目撃情報自体はそこまで多くはないものの、2年ほど前にも一度あったという。その時はすぐにクマがいなくなったため、事なきを得た。コースの周辺にはイノシシ対策のためのフェンスも立てられており、今回のクマが目撃されたのはフェンス外だったという。安全対策はもちろんしっかりと施している。
なお、クマが発見されたのは1番ティ付近だったとも明かす。本戦開催については、「JLPGA(日本女子プロゴルフ協会)さんが今話しているので」と、その判断を待つのみだが、コースとして警察や市との連携は続けていく。そのうえで「きょうのプロアマに向けても準備していたので(コース関係者は)みんな残念だと思います」と、無念の思いを話した。
現在、選手たちには退去命令が出されており、コースはクローズされている。山に大会関係者、地元の警察、自治体など
が入るなど、いぜんコース周辺の調査が行われている。パトカーも来ている状況で、今後の判断に注目が集まりそうだ。(文・間宮輝憲)