
レヴァークーゼンは12日、PSVからアメリカ代表MFマリク・ティルマンが完全移籍加入することを発表した。
クラブからの発表によると、ティルマンはレヴァークーゼンと2030年6月30日までの5年契約を締結した。移籍金は公表されていないものの、『スカイ・ドイツ』の報道によると、レヴァークーゼンはPSVに対して3500万ユーロ(約60億円)を支払ったという。この金額は、今夏にリヴァプールから加入したイングランド代表DFジャレル・クアンサーと並ぶ、クラブ史上最高額の移籍金となった。
ティルマンは2002年5月28日生まれの現在23歳。アメリカ人の父、ドイツ人の母の下、ドイツのバイエルン州ニュルンベルクにて産声を上げた。ドイツで育ったティルマンは、2015年夏にバイエルンの門を叩き、国内屈指の名門のアカデミーで成長を続ける。2021年8月には、DFBポカールの試合でトップチームデビューを飾った。
しかし、バイエルンでは分厚い選手層に阻まれて定期的な出番を得られず、2022年夏にはレンジャーズへ、翌年夏にはPSVへレンタル移籍。2023-24シーズンのエールディヴィジでは28試合の出場で9ゴール10アシストと明確な数字を残し、クラブが6シーズンぶりにリーグタイトルを掲げる原動力となった。完全移籍へ移行した2024-25シーズンも、公式戦34試合のピッチに立って、16ゴール5アシストをマーク。本職のセントラルミッドフィルダーやシャドーだけでなく、左ウイングでも輝きを放ち、PSVのエールディヴィジ2連覇に貢献していた。
また、世代別代表としてはU-15からドイツ代表に名を連ねていたものの、A代表では父の母国であるアメリカ代表を選択。2022年6月に行われたモロッコ代表との国際親善試合でデビューを飾り、これまで国際Aマッチ通算25試合出場3ゴールを記録している。今夏に行われたCONCACAFゴールドカップでも、全6試合の出場で3ゴール2アシストを記録し、アメリカ代表の中心選手として準優勝に貢献していた。
レヴァークーゼンへの完全移籍に際し、ティルマンはクラブを通してコメントを発表。レヴァークーゼンの魅力に言及した上で、タイトル獲得への意欲を言葉にしている。
「このクラブは常に素晴らしいサッカーをしてきた。特に直近の数年間、レヴァークーゼンは飛躍的に成長し、ヨーロッパ中の多くの選手にとって魅力的なクラブになっている。僕は何かを勝ち取りたい。グラスゴーでも、アイントホーフェンでも、それが僕の目標だった。もちろん、ここでも目標は変わらないよ」
また、レヴァークーゼンのシモン・ロルフェスSD(スポーツディレクター)も、ティルマンの完全移籍加入を受けて、次のようにコメントを発表している。
「マリク・ティルマンの加入により、我々は攻撃力を高めることに成功したと言える。彼はミッドフィルダーとして、10番と8番のポジションを起用にこなす選手だ。マリクは我々にとって、トップクラスの戦力となってくれるだろう。彼のプレースタイルはこのクラブと合致しており、マリクのダイナミズムは、このチームの攻撃に新たな刺激を与えてくれる」
一昨シーズン、クラブ史上初のブンデスリーガ優勝、さらにブンデスリーガ史上初の無敗優勝を成し遂げたレヴァークーゼンは、2024-25シーズンのブンデスリーガをバイエルンに次ぐ2位でフィニッシュ。今夏には、成功の象徴でもあったシャビ・アロンソ監督がレアル・マドリードの新指揮官に就任しており、新たにエリック・テン・ハフ監督を迎え入れた。同時に、ドイツ代表MFフロリアン・ヴィルツとオランダ代表DFジェレミー・フリンポンがリヴァプールへ、ドイツ代表DFヨナタン・ターがバイエルンへ移籍するなど、複数名の主力選手の退団も決定。ティルマンはヴィルツが退団した攻撃陣において、新たな“顔”として期待が寄せられる。
【動画】ティルマンがレヴァークーゼンのユニフォームに袖を通す!