
<資生堂・JAL レディス 事前情報◇2日◇戸塚カントリー倶楽部 西コース(神奈川県)◇6766ヤード・パー72>
国内女子ツアー今季第16戦の舞台は名門の戸塚カントリー倶楽部で行われる。過去にメジャーも開催されており、難度が高く歴史あるコースが舞台だ。そんな4日間の展望を、青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務める大西翔太氏が占う。
■無理してドライバーを握らなくていい
「とにかくラフが長い。ここからラフは刈らない予定みたいなので、伸びる一方。入れたらパーを取るのがいっぱい、いっぱいになると思うので、刻んでもいいからフェアウェイに置きたい。ドライバーを無理に持つ理由がないです」。メジャー開催の実績があるだけに、コースセッティングはラフが長くフェアウェイが狭い。それに「予定だと、ここから刈らないみたいなので」と日に日に芝は長くなることが予想されている。
さらに、「毎年距離は伸びていますが、今年も伸びている」と2番と13番のパー5のティイングエリアが後ろに下がり、昨年よりも全体のヤーテージが69ヤード長くなっている。「もちろんそれに対応していく飛距離も必要ですが、それでもこれだけフェアウェイが絞られていることから、飛ばしだけではなく“正確性”も求められる4日間になります」とフェアウェイキープがカギとなりそうだ。
■井上誠一の攻略に求められるのは“正確性”
同ゴルフ場の設計者は多くの名コース手掛ける名匠・井上誠一。特長は原地形を最大限に活かし、もともとある樹木などを巧みに利用した戦略性の高さが有名。グリーンは基本的に砲台で、強い傾斜が多い。「(グリーンを狙う)距離が短くてもピンの横につけてしまうとパッティングが難しくなる。これはアプローチも同じです。横の1メールよりも手前から上りの3メートル。手前から攻めていきたいですね」と話した。
グリーンは2グリーン特有の小ささで、グリーンを狙うショット力も求められる。「このピンポジションだからここに打ってきてという意思が伝わってくるコースがこの戸塚。グローン周りも難しいので、なるべくパーオンをさせて、手前から攻める。無理をしないことによって、結果的に上位にいけるコースだと思います」というように、外すところの見極めも大事になりそうだ。
そうすると、このコースと相性がいいとされるのは“飛んで曲がらない”タイプ。現在トータルドライビングディスタンスで1位に立ち、昨年この舞台でプロ初優勝を飾った桑木志帆が優勝候補の一人に挙がった。「練習場で見ている限りショットの状態も良さそうでしたし、1年ぶりの初優勝の地だからこそ、より注目な4日間になるのではないかなと思います」と期待を込めた。
そしてもう一人は、今年はQT52位の資格で戦い第1回リランキングで6位に上り詰めた宮田成華だ。6月8日まで行われた「ヨネックスレディス」では初日、2日目と単独首位をキープするも、最終日にスコアを崩してしまい3位と惜しくも初優勝には届かなかったが、優勝争いに名を挙げた。「自信はついていると思います。キャディの福井良太くんは、見極めてアドバイスをくれるタイプ。成績も上がってきていますし、いつ優勝がきてもおかしくないですね」と念願の初優勝が期待される。
そして3人目には今年これまで14試合のうちトップ10入りが8回で、今季は優勝こそないが、安定したゴルフを展開している小祝さくらだ。「練習場で見かけると、球が伸びていた。調子が悪い人って球が沈むんです。でもこんなに伸びている球を打てるってことは、調子は悪くないと思いますし、ライン出しが研ぎ澄まされているように見える。“正確性”という部分では、一番小祝さんがあると思います」と、パーオン率『74.7585%』(2位)のショット力から好スコアが予想された。
大会を主催するのは大手化粧品メーカーの資生堂で、特別協賛には今年からJAL(日本航空)が加わった。名門の戸塚を攻略し、真っ赤なジャケットを羽織るのは一体だれなのか?
解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツへと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。また現在、安田祐香の指導にもあたっている。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。