
2024年パリ五輪の馬術競技で日本代表“初老ジャパン”の面々が大活躍をしたのを覚えている人は多いだろう。かつては40歳ぐらいの人を指す言葉だった“初老”だが、寿命が延びた今では60歳ぐらいからだという。ゴルフにおいて60歳は、まだまだスコアを良くすることができる年齢だ。そこで「体力が衰えて、上達が止まった」なんて嘆いているシニア世代に、レギュラーツアー3勝の日下部光隆(56歳)が、自信の湧くアドバイスを贈る。
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飛距離が落ちて悩んでいるシニア世代の方が、飛ばそうとしやりがちなのが、グリッププレッシャーを強くして手首をロックさせて打ってしまうこと。スイングプレーンが乱れるし、上体だけで打つ手打ちスイングになってしまいます。これではいくら飛ばそうとしても、飛距離を伸ばすことはできません。
クラブは下半身で引っ張り下ろしてください。右サイドに乗ってクラブを振り上げたら、左サイドに乗って振り下ろす。この下半身の動きを踏み込みドリルで覚えれば、トップが低くなっても必ず飛距離を伸ばすことができます。
肩だけを回して左サイドに乗ったトップになってしまう人は、右足を重く使いましょう。まず右足を上げて、ドンッと下ろしてからテークバック。右カカトで空き缶を踏みつぶすイメージです。右足を下ろしたときに、頭が右に寄りすぎてはダメ。ボールが遠くなり過ぎて、振り下ろすときに頭から突っ込まざるを得なくなります。注意してください。
左サイドに乗って振り下ろせない人、腕を脱力できない人は、アドレスをしたら、その形のまま右に30センチ、ズレて立ってください。普段どおりにテークバックをしますが、ハーフウェイバックまで振り上げたら、左足を最初のアドレス位置に踏み込みます。踏み込むと同時に右足が滑って、最初の右足のアドレス位置にまで寄せていきます。この切り返しで捻転差ができて、飛距離を生むパワーが出せるようになるはずです。
足をバタバタさせながら左右に軽く体重移動するのも効果的。頭は多少ズレてもOKです。そのバタバタのリズムを変えずクラブを振り上げて、ボールを打つだけ。リズムを変えないことを意識しましょう。これで下半身がどんどん動くようになり、腕を脱力させたまま、クラブを引っ張ってボールを打つことができるようになります。練習の最初にウォーミングアップでやるも良し、ラウンド前にやるのもいいでしょう。
■日下部光隆
くさかべ・みつたか/ 1968年生まれ、神奈川県出身。アマチュア時代は89年、90年朝日杯全日本学生選手権連覇など多数のタイトルを獲得。91年にプロ入りし、レギュラーツアー通算3勝。2007年にツアーから離れてレッスン活動を始め、ゴルフスタジオWASSを主宰。18年からはシニアツアーに参戦している。
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