セリエA上位浮上を目指すミランとローマの激闘は痛み分け…ディバラが右足ボレーで同点弾

 セリエA第18節が29日に行われ、ミランとローマが対戦した。

 前節終了時点で7勝5分4敗の成績を残し、勝ち点「26」を積み上げているミラン。パウロ・フォンセカ新監督を迎えた今シーズン、開幕直後こそスタートダッシュに失敗したが、11月以降の公式戦で黒星を喫したのは、今月6日に行われたセリエA第15節アタランタ戦(●1-2)のみ。7勝3分1敗と好成績を収めており、現在の順位こそ8位に甘んじいるが、まだまだ上に食い込みそうな気配を漂わせている。

 一方で、ローマは5勝4分8敗の勝ち点「19」で11位に甘んじている。今季はクラブレジェンドのダニエレ・デ・ロッシ監督の下でシーズンをスタートさせたが、開幕後4試合を1分3敗で終えた時点で解任が決定。後任としてやって来たイヴァン・ユリッチ監督(現:サウサンプトン)も不調のチームを立て直すことができず、わずか12試合で指揮官交代に踏み切った。今季3人目の監督として迎え入れられたのは、過去に2度ローマを率いたこともあるクラウディオ・ラニエリ氏。就任以降の公式戦での成績は4勝1分2敗で、白星の数が先行しており、ここからの上位浮上に向けて負けられない一戦だ。

 ミランはラファエル・レオン、ルベン・ロフタス・チーク、クリスティアン・プリシッチら数多くの主力を負傷の影響で欠くものの、テオ・エルナンデスやアルバロ・モラタらが先発に名を連ねる。一方、ローマはマッツ・フンメルス、パウロ・ディバラ、アルテム・ドフビクらがスターティングメンバーに入った。

 イタリア国内でも大きな注目を集めるビッグマッチは、ミランが自陣からのビルドアップで打開を試みるのに対し、ローマはロングボールを多用しながら敵陣へ侵入していく構図。最初の決定機はローマに生まれ、11分、ディバラからの縦パスをドフビクが落とすと、アレクシス・サーレマーケルスからのスルーパスにドフビクが反応。動き直しからボックス内でパスを引き出すと、得意の左足を振ったが、シュートは右ポストに嫌われた。

 対するミランは16分、自陣でクリアボールを拾ったユスフ・フォファナがドリブルで前進し、左サイドへ流れたアルバロ・モラタを使うと、前線のスペースへ走り込んでリターンパスを受ける。フォファナは相手を引き付けて右へ渡すと、フリーで並走していたタイアニ・ラインデルスが右足で仕留める。ラインデルスの2試合連続ゴールで、ミランが先手を取った。

 ローマも即座に反撃へ。23分、ローマは敵陣左サイドでの細やかなパス交換から、ニッコロ・ピジッリがフリーで顔を上げると、ボックス内へ斜めのパスを差し込む。マリック・チャウを背負ったドフビクがこのボールをヒールで落とすと、待っていたディバラが右足一閃。利き足とは異なる右足でボレーシュートを叩き込み、ローマが試合を振り出しに戻す。ディバラ個人としては、パレルモ在籍時以来、およそ10年ぶりに『サン・シーロ』でゴールネットを揺らした。

 その後はミランがより多くのチャンスを作り出す。特に目立ったのはサムエル・チュクウェゼで、右サイドからの仕掛けで数々のチャンスを演出し、自らも左足で勝ち越しゴールを狙う。だが、これ以上のゴールは生まれずに前半も終盤に差し掛かると、43分にはフォンセカ監督が退席を命じられ、ミランとしては後味の悪い状況でハーフタイムを迎えることとなった。

 後半へ入ると、ミランは負傷明けのイスマエル・ベナセルを投入。ローマは49分、レアンドロ・パレデスがそのベナセルからボールを奪ったところからショートカウンターへ。同じくハーフタイム明けからの投入となったロレンツォ・ペッレグリーニがボールを持ち運び、4対2の状況で右へ渡すと、ドフビクは相手に寄せられながらも縦へ振り切り、右足を振り抜いたが、枠へ飛ばすことはできない。

 一方のミランは55分、チュクウェゼからのパスを受けたベナセルがディバラをかわし、左足でミドルシュートを放つも、GKミレ・スヴィラルに阻まれる。続く56分にはペナルティエリア手前中央の位置でフォファナからのパスを引き出したチュクウェゼが、左足を振り抜いたが、またもGKスヴィラルがビッグセーブ。ゴールを許さない。

 ミランは直後の59分、この日数多くのチャンスを生み出していたチュクウェゼが負傷するアクシデントが発生。タミー・アブラハムとの交代でピッチを後にした。

 1-1のまま終盤に突入すると、78分には自陣でのボール奪取からローマがチャンスを構築。ペッレグリーニがドリブルで前進し、1度はボールを失いかけたものの、右サイドに流れたルーズボールをディバラが回収。サーレマーケルスとのワンツーからダイレクトでボールを繋ぐと、ピジッリがフリーでボールを持ち運び、ペナルティエリアまで入って右足を振り抜く。しかし、シュートは枠を捉えきれない。84分にはペナルティエリア手前でペッレグリーニからの落としを受けたディバラが、迷いなく左足でミドルシュートを放つも、フォファナが体を張ってブロック。85分にはコーナーキックからのこぼれ球を拾ったステファン・エル・シャーラウィの右足シュートが枠を捉えたが、GKマイク・メニャンが右手一本で弾き出した。

 勢いに乗るローマは88分、敵陣左サイドでフリーキックを獲得すると、パレデスが右足でインスイングのボールを供給。このボールを、直前に入ったばかりのエルドル・ショムロドフがバックヘッドで合わせたが、ここはクロスバーに直撃。89分にはディバラからのパスでボックス内へ走り込んだペッレグリーニにチャンスが到来したが、アレックス・ヒメネスに寄せられてフィニッシュまで持ち込めない。

 終盤は完全にローマが主導権を掌握したが、これ以上の得点は生まれず、試合はタイムアップ。ミラン、ローマともにセリエAで今季2度目の連勝とはならず、痛み分けの結果となった。

 この後、ミランはサウジアラビアで行われるスーペルコッパ・イタリアーナに参戦し、2025年1月3日に準決勝でユヴェントスと対戦する。一方で、ローマは5日に次節のセリエAでラツィオをホームに迎え、“デルビー・デッラ・カピターレ”に臨む。

【スコア】
ミラン 1-1 ローマ

【得点者】
1-0 16分 タイアニ・ラインデルス(ミラン)
1-1 23分 パウロ・ディバラ(ローマ)

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