日本勢の強さがはっきり見えた米QT その秘密とは?【原田香里のゴルフ未来会議】

ゴルフを愛するみなさん、こんにちは。原田香里です。
いやぁ、すごかったですね。米ツアーのQシリーズファイナル(最終予選会)。7人の日本勢が出場して5人がツアーカードを獲得しました。それだけでも驚いたのに、山下美夢有さんはダントツの首位。2位が岩井千怜さん、岩井明愛さんが5位、吉田優利さんは9位タイ、馬場咲希さんが24位タイ。日本選手の強さが浮き彫りになりました。

こうした場では、緊張感の中、どれだけいつものように自分のプレーができるのか、ということが大切になってきます。今回、ツアーカードを獲得した5人はいずれも、それがしっかりとできていたのでしょう。

飛距離はアドバンテージにはなるけれど、正確性に勝るものはないということを、山下さんは証明してくれました。これは、2024年の米ツアーで、平均ストロークNo.1のベアトロフィーを獲得した古江彩佳さんのプレーぶりに通じるものです。今回も、山下さんは正確なショットでプレーし続けました。岩井ツインズについては、飛距離もあるし、爆発力もある。本人たちが口にしていたように、緊張感の中にもゴルフを楽しむ気持ちを持って実力を発揮したと思います。

2024年は米ツアーでプレーしながら、思うような結果が出せなかった吉田さんは“QTに戻ってきてしまった”状況でした。でも、それを全く感じさせませんでした。私は、吉田さんはメンタルがすごく強い選手だと思っています。

自分のいいところを上手に育てることができるのが吉田さんです。活躍する選手には、周囲が「なにそれ?」と思うくらいに「私ってすごいの。やれるの!」という空気を出すことができる時期があると思っています。自信に裏付けられたいい意味でのポジティブさ。吉田さんはつねにそれを持ち、ネガティブなところを全く見せません。

ポイントランキング102位と、ギリギリで出場権を逃してのQT行きという悔しさにとらわれるのではなく、前向きに糧にする強さ。群を抜いたセルフプロデュース力は天下一品。来季は、さらに活躍してくれるのではないでしょうか。

日本の選手たちがこれだけ力を発揮できるようになった背景には、やはり日本ツアーでの経験があると思います。JLPGA(日本女子プロゴルフ協会)は「海外で活躍できるグローバルな選手を育てる」という目標を掲げ続けてきました。コースセッティングの担当を作り、4日間大会を増やすことで、選手に力をつけてもらい、ロレックスランキングのポイント配分も増やしてきました。

実際にプレーする選手たちは、4日間大会が増えたことで体力も必要だし、スケジュール調整も大変になりました。でも、その分、確実に力がついたはずです。メジャーの舞台や米ツアーで戦う時に日本との違いを感じることも、以前よりは減ったでしょう。その効果が出たと言えると思います。

今回のように、1日順延となっても、プレー以外のさまざまな手配はマネージャーがしてくれて、気候の変動に対応できる準備も、自分だけではなく手伝ってくれる人がいる…。これは大きいと思いますね。その分、かかる経費が大きいのは言うまでもありませんが…。プレーに集中できる環境づくりはとても大事です。

24位タイの馬場さんは、出場できる試合が限られるため、今年プレーしていた米下部のエプソンツアーに行くこともあるようです。ここには、ツアーカードには届かなかった山口すず夏さん、最終日を前にカットされてしまった原英莉花さんも参戦するようです。米ツアーはもちろん、エプソンツアーも気になる…そんなうれしい予感でいっぱいのQTでした。来年が待ち遠しいですね。

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