
<ソニー 日本女子プロゴルフ選手権 事前情報◇3日◇かねひで喜瀬カントリークラブ(沖縄県)◇6670ヤード・パー72>
「パリ五輪」、「AIG女子オープン」(全英)出場のため欧州を転戦していた山下美夢有が、およそ1カ月半ぶりに国内ツアー復帰を果たす。ひさびさの日本の会場では「充実した1カ月ちょっとでした。海外で過ごした期間は楽しかった」と笑顔ものぞかせた。
海外メジャーでの活躍を誓っていた今シーズン。その宣言通り、全5試合に出場し「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」2位などの成績も残した。ただ「アムンディ・エビアン選手権」39位、全英では予選落ちと欧州を舞台にした大会には不満も。「今年はメジャーを目標にやっていたので、エビアン、全英は悔しい結果になった」という言葉ももれる。
全英を終え帰国。先週の「ゴルフ5レディス」はスキップし、コンディション調整やショット練習に時間を割いた。「求めているスイングとは少し違う感じがした。あまり気持ちいいスイングではなく、違和感もあって、それが全英に出てしまいました」。父のアドバイスなどを受けながら、課題克服を続けていたようだ。それでも欧州で積んだ経験値は大きい。日の丸を背負い出場した五輪では、メダルにあと一歩に迫る4位という結果も残した。「たくさんの方が見てくれていたし、それがすごくうれしかった」と振り返る。
ここまで未勝利ながら、コンスタントに海外メジャーで成績を残したことで、メルセデス・ランキングでは首位を走る竹田麗央に306.61pt差の2位につける。メジャー優勝1発で逆転する位置だが、「今は特に(ランキングを)考えるより、ひとつひとつと考えている。そのなかで結果を出せるように。いつも通りのプレーで」と、自らの立ち位置を強く意識することはない。まずはいい内容を積み重ねていき、その先に“3季連続女王”がある、というスタンスだ。
このように自然体の山下ではあるが、その言葉に熱を帯びる話題もあった。弟・勝将(まさゆき、近大4年)が、8月27~30日に実施された日本プロゴルフ協会(PGA)のプロテストでトップ合格した話だ。
「大学に入ってから一緒に練習することも少なくなってプレーも見てなかった。まさか優勝(トップ合格)すると思ってなくて、変な緊張感もありました。そのなかで弟の成長も感じた。弟もトップ通過したかったと思うし、自信になったと思います。プロテストに通って、次が大事になるので、気を引き締めて頑張って欲しい。きょうだいとしていい刺激をもらいました。一番近くでプレーを見て、アドバイスをくれたり心強い。私も頑張らないとという気持ちになりました」
この時ばかりは“姉”の顔。祝福とプロとしての助言が入り混じる。そんな弟には普段着もプレゼントし、お祝いとした。
その“刺激”を、ここから自らのプレーの原動力にしたい。「メジャーという大会でしっかり優勝したい気持ちもある。それしか考えていないですね」。ここまで「ワールドレディスサロンパスカップ」(2022年)、「JLPGAツアー選手権リコーカップ」(22、23年)とメジャー2タイトルを制している。沖縄で3冠を目指していく。(文・間宮輝憲)