
<パリ五輪 事前情報◇29日◇ル・ゴルフナショナル(フランス)◇7174ヤード・パー71>
韓国の激しい代表レースを制した初出場のトム・キム、2016年のリオ大会に続く2度目の五輪出場となるアン・ビョンハンが公式会見に臨んだ。
すでに練習ラウンドを済ませたキムは、「想像以上にラフが長くなるだろうと思っていた。コースのコンディションは最高」と絶賛した。同コースで行われ、久常涼が勝利した昨年のDPワールド(欧州)ツアー「フランスオープン」にも出場しており、「メダルを獲得するためには相当いいプレーをしないとならない。素晴らしいテストになる」と話した。
一方、アンはコースに到着したばかりだが、「2016年のフランスオープンに出場した。ライダーカップも見たし、コースはよく覚えている」という。
アンにとって五輪は特別な意味がある。両親がともにオリンピアン、1988年の「ソウル五輪」に卓球で出場、韓国代表だった父は銅メダルを獲得、母は中国代表でシングルスで銅メダル、ダブルスでは銀メダルを獲得している五輪一家だ。
「だから子供の頃からずっと五輪を見てきた。きっとどの選手よりも五輪の中で育ったと思う」
オリンピアンでメダリストの両親だが「父も母も五輪出場は1度だけ、僕はリオに続いて2度目の出場だ。でも金メダルを持ち帰って、両親を超えたい」とトップを目指すと宣言した。
韓国には徴兵制度がある。原則18歳〜28歳の男性は18〜21カ月の兵役義務を果たさなければならない。五輪で“メダル”を獲得するとその義務は免除されるのだが、義務を全うしないと国民からは厳しい目が向けられるのも事実。
そのことについて聞かれたキムは、「もっとも簡単な答えは、僕たちは今週はいいプレーをするためにここに居るということ。プレーに集中したい。韓国人であることに誇りを持っている。徴兵制度はあるのが現実。ベストなプレーをして表彰台に立ちたい」とキム。目指すは金メダルで、兵役義務の免除ではないと話した。(文・武川玲子=米国在住)