師匠も“サプライズ”でお出迎え 芹澤信雄が全米シニアV争いの藤田寛之に送った言葉

「全米シニア」でプレーオフのすえ惜しくも2位に入った藤田寛之が3日、羽田空港着の航空機で帰国した。50人を超える関係者や報道陣が“サプライズ”でお出迎え。「この状況が信じられない」と反響に驚いたが、そこには師と仰ぐ芹澤信雄の姿もあった。
初日から単独首位を快走していたが、悪天候により4日目の競技はサスペンデッドに。8ホールを残して3打のリードを持ったまま、月曜決着となった。世界最高の舞台でメジャー制覇をかけて堂々と戦う弟子・藤田の姿に、師匠・芹澤はどのようなメッセージを送ればいいのか、少し悩んだ。

「55歳でここまでやってくれているので、いまさら『頑張れ』という言葉は使えない。選手の立場から言うと、一晩寝るっていうのは優勝争いでつらいこと。8ホール残して3打差だと、もしかしたら…と余計なことを思わなければいいなと。コメントをするのも難しくて、そこは無視しました(笑)」。しばしの葛藤のすえ『楽しんできて』という言葉を選んだ。

最終ラウンド再開後は序盤にスコアを落とし、リチャード・ブランド(イングランド)とのプレーオフにもつれこんで2位。「残念はほんの30分くらいで、よくよく考えたら、よくやれたんじゃないかな」と藤田は振り返るが、それは師匠も同じ気持ち。「『日米オープン制覇よかったね』とコメントを決めていたのでショックでしたけど、この全米オープンで戦えたのはすごい」。日本勢2人目のシニアメジャー制覇は叶わなかったが、健闘を称えた。

ふたりの師弟関係は1997年から始まった。かつては悩みがあれば相談をしてアドバイスをもらっていたが、それはある時を境にパッタリとなくなった。「師匠が『お前のゴルフをやればいいんだよ』と言ってくださった瞬間があった。それは自分のなかですごい出来事だった。初めて、お前のままでいいと言ってくださったので」。賞金王の座について、「日本シリーズ」3連覇を達成した2012年から少し経ったときのことだったという。

相談することは減っても、「ずっと指導していただいて唯一の存在。そうやってメッセージをいただけると勇気をもらえます」。師匠からの言葉は変わらず大きい。少し照れ臭そうに握手を交わしたふたりの関係性は、かけがえのないものである。(文・笠井あかり)

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