
<宮里藍 サントリーレディス 事前情報◇5日◇六甲国際ゴルフ倶楽部(兵庫県)◇ 6545ヤード・パー72>
前週の「全米女子オープン」で12位に入った山下美夢有はお疲れ気味だった。前日4日の夕方に羽田空港に帰国し、乗り継ぎで大阪空港に到着。そこから車で神戸に移動し、ホテルに入ったのは午後10時だった。時差ぼけにも悩まされたこの日は睡魔との戦い。「きのうはすぐに寝たけど、2時間くらいでパッと起きてしまった。今ですか? まぶたが勝手に落ちてきます」と苦笑した。
自身6度目のメジャーとなった全米はトップ10入りこそ逃したが、13位だった2022年の「AIG全英女子オープン」を上回るメジャー自己最高位で終え、初出場で予選落ちだった昨年の借りは返した。「行って良かった。去年が悔しい結果だったので、今年は上位で戦いたいと強く思っていた」と納得できる結果を残すことができた。
ただ、大詰めを迎えたパリ五輪の代表争いからは一歩後退した。今回の全米で日本勢はメジャー史上最多の5人がトップ10入りしたが、優勝した笹生優花の世界ランキングは大会前の30位から6位に急上昇し、6位の古江彩佳の世界ランキングも25位から23位に上がった。日本勢2番手だった山下は4番手の25位に後退。五輪代表は24日発表の世界ランキングに基づいて決まる。今大会を含めた3試合で、取りこぼしは許されない状況となった。
「日本選手があれだけ上位で戦い、同期の優花が優勝した。すごくいい刺激をもらいました。私も頑張らないと、という気持ちになった」
今季の日本ツアーはここまで11試合に出場して3度の2位があるが、まだ優勝には届いていない。2季連続の年間女王は「ギアを上げていきたいですね。ショットはまだ完璧ではないけど、だいぶ良くなっている。かみ合えば上位に行けるかな」と笑顔で話し、全米でつかんだ手ごたえを2年前に制した相性のいい「サントリーレディス」で確信に変えるつもりだ。来週は「ニチレイレディス」に出場し、2週後は「KPMG全米女子プロ選手権」に出場する。
全米女子プロでは、古江や日本勢2番手の世界ランク19位につける畑岡奈紗ら五輪代表争いのライバルたちと競う。最終決戦へ弾みをつけるためにも、「しっかり寝て、ちょっとでも体を大事にしていい状態で迎えたい」。体調を整え、まずは神戸の地で今季初Vを狙う。(文・臼杵孝志)