
<全米女子オープン 3日目◇1日◇ランカスターCC(ペンシルベニア州)◇6583ヤード・パー70>
海外メジャー第2戦「全米女子オープン」は3日目の競技が終了した。メジャー過去最多の14人が決勝ラウンドに進出し、渋野日向子が最上位となる2打差4位に浮上。“世界一決定戦”の最終日はどのような展開となるのか。大会を中継するBS松竹東急(全国無料放送・BS260ch)で解説を務めた服部道子に展望を聞いた。
■2打差の渋野日向子を筆頭に…トップ10に日本勢4人
「かつてないので、本当にワクワクします。日本人選手をこうやって多く、そして上位で見られるのは頼もしいですね」。2打差4位の渋野日向子をはじめ、3打差5位の笹生優花、6位小祝さくら、8位竹田麗央とトップ10には日本勢4人がつけている。
11位には日本の絶対女王・山下美夢有、14位には古江彩佳と岩井千怜など、V争いに名乗りを上げてもおかしくない実力者たちもいる。この日は午前3時から放送を開始したが、「眠いはずの時間帯なのに、まったく眠くなかったです(笑)。みなさんが自分のプレーをしていました」と各選手の好プレーを称賛した。
■渋野日向子の調子は?
今季は9試合に出場し、予選通過は2試合のみ(1試合は予選落ちのない試合)。苦しい春先を過ごしていたなか、メジャーという大舞台で復調傾向が見られる。1週間のオープンウィークを米国で過ごし、そこでウェッジとパター以外のシャフトを全て替えるという選択もしたが、それが奏功していると分析する。
「クラブのシャフトを柔らかくしたり、軽くしたりしていました。自分が振ってというよりは、クラブを使っていい形で調整できていると思います。いいテンポで振れていて、そしてトップでもしっかり間合いができていますね」
3日目は7つのバーディを奪った。第3ラウンドのバーディ数は全体トップ。3日間の合計『15』個も全体1位だ。「たくさんのバーディをこの難コースで取れています。自分のゴルフができている、という満足感は表情にも表れていましたね」。笑顔も多く見られた一日だった。
ショットも高水準で、それを決め切るパッティングについても「修正ができていて、かみあってきました。楽しみです」と太鼓判。この3日間のいい流れが、ラスト18ホールに続いていくことを期待したい。
■笹生優花、小祝さくららの追走にも注目
2021年覇者の笹生にとっては、大会2勝目という快挙もかかる。この日は2オン可能なパー5が設定されるなど、伸ばしたいムービングデーだったが、笹生は1アンダーにとどまった。
「自分のゴルフに対してスコアに結びつかなかった、という気持ちもあると思います。でもきょうがあしたじゃなくてよ良かった。もう1日できます。またあした、頑張ってほしいですね」。緊張感も増すビッグトーナメントでは優勝経験が生きてくるはず。3年前のオリンピッククラブでの戦いでは1打差2位からトップに追いつき、畑岡奈紗とのプレーオフを制した。そのシナリオの可能性は十分にある。
スポット参戦の日本ツアーメンバーも奮闘。小祝、竹田がトップ10につけている。尾関彩美悠は1アンダーで回り、ジワリジワリと順位を上げている。「日に日に、アメリカツアーに慣れてきている感じが見られます。『もっとスコアが出せたんじゃないか』というインタビューが本人たちにもありましたし、私もプレーを見てそう思いました」。
疲れが出てきそうな最終日ではあるが、それを踏まえても「いろんな意味で、アジャストができてくるはずです。あしたは集大成を見せてもらえるのではないでしょうか」。最高の形で締めくくり、日本ツアーへと戻りたい。
■首位に3人… 日本勢の強敵は?
首位から出たウィチャネ・メーチャイ(タイ)、最終組で回ったアンドレア・リー(米国)、4つ伸ばしたミンジー・リー(オーストラリア)の3人がトータル5アンダー・首位に並んだ。このなかで服部は、ミンジーに注目する。
「きょうは100%の状態ではない中で、トップの位置にいます。調子が悪くても修正できる能力があって、こうやってまとめられる強さがあります。警戒ですよね」。ツアー10勝でそのうちメジャーは2勝。全米女子は22年に制覇している。今季ここまでは「ブルーベイLPGA」の4位タイが最高位で予選落ちは3回あるが、復調して世界一のタイトルを“奪還”するというストーリーも見えてくる。
メジャー初制覇を目指すリー、メーチャイはきょう最終組で回った。「全米女子オープンはすごい雰囲気というか、やはり特別感がある試合。世界一というと誰もが取りたいタイトルです。そのなかで、最終組で回った二人にとっては、長い夜になるんじゃないかなと思います」。首位で迎えるメジャー最終日。その緊張は計り知れない。
優勝争いのカギになるのはフェアウェイキープとパーオン。「フェアウェイにもアンジュレーションがあるので、計算しながらやらないとラフに入ってします。グリーンを狙うショットについては、風に対して出す方向やタテ距離も重要になってきそうです」。
最終組は日本時間3日午前3時15分(現地時間午後2時15分)にティオフ。順調に競技が進めば、午前7時ころに優勝者が決まる。服部は「ぜひ日本選手のみなさんにパワーを送りましょう。3時に起きて一緒に応援しましょう!(笑)」とアピール。早朝3時から7時までの放送が予定されているが(最大延長10時)、「7時に起きないでくださいよ(笑)」と笑いながら、大舞台で輝く選手たちにエールを送った。