これがレアル・マドリード! 終盤にホセルが2発、バイエルンに劇的逆転で2年ぶりCL決勝進出

 チャンピオンズリーグ(CL)・準決勝セカンドレグが7日に行われ、レアル・マドリード(スペイン)とバイエルン(ドイツ)が対戦した。

 今季の“欧州最高峰”の戦いも、残すところあと2試合となった。準決勝最後の試合では、歴代最多14度の優勝を誇る大会の盟主レアル・マドリードと、そのレアル・マドリード、ミラン(イタリア)に次ぐ6度の優勝を誇るバイエルン(ドイツ)が相まみえる。

 今大会、レアル・マドリードはグループCに組み込まれ、6戦全勝と安定感のある戦いを披露。決勝トーナメント1回戦(ラウンド16)ではライプツィヒ(ドイツ)を2戦合計2-1で下すと、準々決勝では昨季の大会王者であるマンチェスター・シティ(イングランド)を相手に2戦合計4-4、PK戦までもつれ込む激闘の末に勝利を掴み、準決勝行きの切符を掴んだ。

 一方、バイエルンはグループAを5勝1分とこちらも無敗で突破した。ラウンド16では鎌田大地所属のラツィオを相手に、ファーストレグこそ敗れたものの、最終的には3-1で逆転勝利を達成。準々決勝では冨安健洋所属のアーセナルと対戦し、2-2でホームへ戻ったセカンドレグでジョシュア・キミッヒが決勝弾を奪い、ベスト4入りを果たしていた。

 およそ1週間前にバイエルンのホームで行われたファーストレグは、両者譲らず2-2のドローでタイムアップ。現在はアウェイゴール制度は廃止されたため、勝てばその時点で決勝進出の権利を勝ち獲れるセカンドレグに向け、レアル・マドリードはジュード・ベリンガム、ロドリゴ、ヴィニシウス・ジュニオールといった強烈な面々が先発に並んだ。一方のバイエルンも、ジャマル・ムシアラ、レロイ・サネ、ハリー・ケインと可能な限りのベストメンバーを送り出している。

 試合は立ち上がりからレアル・マドリードが攻め込む時間帯が目立ち、バイエルンはまずは守備からという形で試合に入る。13分には意外な形でレアル・マドリードがチャンスを構築。エリック・ダイアーの蹴ったクリアボールが目視ではライン上に残っていたように見えたため、一部選手はプレーを続けたものの、主審はタッチラインを割ったと判定。このボールがレアル・マドリード陣内に残っているなか、新しいボールをもらったダニエル・カルバハルがスローインをクイックリスタート。ロドリゴのドリブル突破が阻まれた後、こぼれ球を拾ったカルバハルが中央へ繋ぎ、最後はボックス右で前を向いたヴィニシウスが右足フィニッシュ。ここは左ポストに嫌われる。跳ね返りにロドリゴが詰めたが、GKマヌエル・ノイアーに阻まれた。

 その後はバイエルンの組織的な守備が隙を見せなかったこともあり、レアル・マドリード目線でわかりやすい決定機の数は限られる。バイエルンは27分、負傷明けだったセルジュ・ニャブリが再びケガに泣かされ、アルフォンソ・デイヴィスと交代になるアクシデントが発生。それでも直後の28分には、ボックス手前中央の位置で、クリアボールにケインが反応。ダイレクトでボレーシュートを放ったが、ここはわずかに枠を捉えきれない。

 レアル・マドリードは終盤にヴィニシウスを中心にゴールへ迫る場面を作ったものの、前半のうちにスコアは動かず、セカンドレグはスコアレスで後半へ折り返す。

 後半へ入るとレアル・マドリードがより一層攻勢を強め、ベリンガムが、ヴィニシウスが、ロドリゴが、幾度となくゴールを脅かすも、GKノイアーが好セーブを連発し、ゴールを許さない。するとそんな“守護神”の奮闘にスピードスターが応えた。

 68分、バイエルンは自陣でボールを奪ってカウンターへ転じると、ムシアラがボールを持ち運び、ピッチ中央付近でサポートしたケインが一気に左サイドへ展開。駆け上がっていたA・デイヴィスにボールが届くと、中央へ持ち出しから右足一閃。利き足ではない右足から放たれた一撃は、懸命に手を伸ばしたGKアンドリー・ルニンを嘲笑うかのごとく、絶妙なコースに飛び、ゴールネットを揺らす。バイエルンが敵地で大きな1点を奪った。

 1点ビハインドとなったレアル・マドリードは、失点直後にトニ・クロースとオーレリアン・チュアメニを下げて、ルカ・モドリッチとエドゥアルド・カマヴィンガを入れ、中盤の2枚を変更。猛攻を続けながらも、1点を守り切る体制に入ったバイエルンの守備陣を攻略することができず、試合はこのまま終盤へ。81分にはロドリゴ、バルベルデを下げてブラヒム・ディアス、ホセルとアタッカーを投入するも、1点が遠いまま時計の針が進んでいく。

 このままバイエルンが決勝へ進む。多くの人々がそう思ったが、試合会場が『サンティアゴ・ベルナベウ』であることを忘れてはならなかった。88分、右サイドでルーズボールを拾ったモドリッチから、カマヴィンガ、ベリンガムを経由して左サイドのヴィニシウスにボールが渡ると、カットインから右足を振り抜く。GK正面へ向かったシュートをノイアーはキャッチしようとしたものの、ここでまさかのファンブル。セカンドボールに詰めていたホセルがこの隙を見逃さず、土壇場で試合を振り出しに戻した。

 ここで攻撃の手を緩めないのがレアル・マドリード。後半アディショナルタイムに突入した直後、レアル・マドリードはモドリッチの蹴った右コーナーキックが逆まで流れると、セカンドボールを拾ったヴィニシウスがクロスボールを送る。跳ね返り回収したナチョ・フェルナンデスは後ろを向きながらも、見事にボックス左のスペースを使い、待っていたアントニオ・リュディガーがダイレクトでGKと最終ラインの間に鋭いボールを供給。最後はホセルがダイレクトで押し込んだ。

 1度はリュディガーのポジションがオフサイドと判定されたものの、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)を経て判定が変更。レアル・マドリードが劇的な形で2得点を奪い、遂に一歩前へ出た。

 ホセルの劇的2ゴールが決まり、試合はこのままタイムアップ。CLにおいて何度も何度も見てきたような、レアル・マドリードの“勝負強さ”が光り、大会の盟主が2シーズンぶりにCL決勝進出を果たした。一方、バイエルンは最後に優勝を果たした2019-20シーズン以来となる決勝が目前まで迫っていたが、理不尽なほどの底力の前に涙を飲む結末に。今季の無冠が決まった。

 今季のCL決勝は6月1日にイングランドの『ウェンブリー・スタジアム』にて開催予定。勝利したレアル・マドリードは、もう一方のセミファイナルを制したドルトムント(ドイツ)と対戦する。

【スコア】
レアル・マドリード 2-1 バイエルン

【得点者】
0-1 68分 アルフォンソ・デイヴィス(バイエルン)
1-1 88分 ホセル(レアル・マドリード)
2-1 90+1分 ホセル(レアル・マドリード)

externallink関連リンク

●ドルトムント、11年ぶりのCLファイナル進出! PSGが猛攻も…フンメルス弾で第2戦も勝利●今季限りでドルトムント退団のロイス、CL決勝進出に万感の思い「10年以上の時を経て…」●ドルトムントの“11年前”を知るフンメルス「今はウェンブリーで勝てない理由が見つからない」●ジローナ、ラ・リーガからのCL参戦は14クラブ目! バルサ戦における21世紀初の記録も●プレミアリーグ、来季CL出場権「5枠」に拡大の可能性が消滅…ドルトムント勝利でブンデスリーガが獲得へ
externallinkコメント一覧

コメントを残す

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)