
米国男子ツアーのコミッショナーであるジェイ・モナハン氏は「我々の組織にとって記念すべき日だ」と意気揚々と選手たちに語った。
今季シグネチャー大会の第2戦「AT&Tペブルビーチ・プロアマ」の開幕前日(31日)にPGAツアー、米下部のコーン・フェリーツアー、米シニアツアーのPGAツアーチャンピオンズのメンバーに約30分の電話会議が行われた。そこで、新しく設立される営利団体『PGAツアーエンタープライズ』に“ストラテジック・スポーツ・グループ”が最大で30億ドル(約4380億円)の投資額で最終合意が締結されたことが発表された。
この合意が「記念すべき」とモナハン氏が話す理由の一つに、PGAツアーに参戦する選手らが新しい企業の株式を一部手に入れることができることだ。これまで選手には賞金やボーナスとして支払われてきた報酬が大きく転換するものとなった。
同ツアーの選手理事会はこの合意に賛同し署名をした。「選手たちに自分たちが戦うツアーに投資することを奨励し、ツアー経営者たちとの利害を一致させるもの」としたという。選手理事会メンバーの一人であるタイガー・ウッズ(米国)も「ツアーが成長することで我々も成長する」と同案に賛同した。
この投資の合意は、現在PGAツアーがDPワールド(欧州)ツアーとともにサウジアラビアの政府系ファンド『PIF』との統合とは関連しないものである。PIFとの枠組みの合意最終期限だった2023年12月31日は延長され、現在は「春までに」を目標に協議が続けられている。ストラテジック・スポーツ・グループは将来的にPIFとの統合にも合意しているとされた。
ストラテジック・スポーツ・グループとは、フェンウェイ・スポーツ・グループが率いる組織でアーサー・ブランクやスティーブ・コーエンといった著名なビリオネアや米ナスカーレースの強豪チームであるMLBのボストン・レッドソックス、プレミアリーグのリバプールの親会社でもある巨大スポーツビジネスの投資会社。今後PGAツアーはストラテジック・スポーツ・グループとともにPIFとの統合を目指すことになる。(文・武川玲子=米国在住)