第70話 日本の「食」は成長分野(その2)~農作物の輸出と和食産業の海外展開

株の神様に株や投資の本質を教えてもらっているTさんの奥様、A子さん。友人のフィナンシャルプランナーB美さんとお茶をしながら投資の話をするのが楽しみになっています。今日は、日本の「食」が成長分野だという話になっています。

A子:日本の食品が輸出産業になるの?日本の輸出というと自動車とか、電化製品などの工業品のイメージが強いわよね。

B美:「和食」がユネスコへの無形文化遺産への登録が決まった2013年に、農林水産省は農林水産物・食品の輸出額を2020年までに2.2倍の1兆円に拡大させる目標を掲げたの。そして、安倍首相は昨年、この目標を1年前倒しする表明をしたのよ!

A子:でも、そんなに輸出するものなんてあったかしら?

B美:そうね、お米とか、清酒、牛肉なんかの輸出額の目標の増加幅が大きかったわ。

A子:国産牛の霜降りの脂がとろける感じは、日本人ならではの好みかと思ってたけど。世界に通じるものなのね。

B美:そうね。日本食や和食文化の魅力を海外に向けて発信することが大切で、首相や農林水産大臣がトップセールスしているそうよ。少子高齢化で日本の国内需要が減った分を、高い付加価値で輸出するのが狙いね。イタリアが戦略的に食と観光に取り組んで、外国人観光客向けに農場での飲食と宿泊といったサービスを提供したりして、生産者も豊かになっているそうよ。良いお手本かもしれないわ。

A子:そういうことなら、生産者の方々だけでなく、地方の活性化にもプラスよね!

B美:クールジャパン機構という組織を知っている?「海外で日本の魅力を高める」「海外市場開拓の先駆けとなる」といった基準で、日本の衣食住に関わる生活文化の特徴を生かした魅力ある商品やサービスを海外展開することを推進しているの。

A子:聞いたことあるわ。官民協力して投資を通じて、日本のアニメやファッションなどを海外に広める活動をしているのよね。

B美:日本の食についても、いろいろと支援しているのよ。例えば、去年の夏には、共同でシンガポール伊勢丹に16店舗の日本国内の飲食店を一斉にオープンさせたの。ほとんどが海外への出店が初めてだったそうよ。

A子:デパートのフロアいっぱい日本食ね。そうなると、自動車だけの日本じゃなくて、『食の日本』というイメージになるわよね。

B美:今まで日本国内を中心に出店してきた外食産業も、海外展開への足がかりになるかもしれないわ。そうなると、企業の規模も大きくなってグローバルな会社に成長するかもね。牛丼で有名な吉野家は、今年の2月時点で、国内1,200店舗、アジアを中心に海外でも700を越す店舗を運営しているそうよ。

A子:すごい!海外でもそんなに展開しているの?日本に観光に来たアジアの国の人達は、吉野家を知っているのかもね。

B美:そうよね。これから、どんどん海外に展開する、元気な外食の成長企業を探すのも楽しみになるわよね!

(この項おわり次回10/4「ESG投資って何?(その1)」を掲載予定)

提供:いちよし証券
「兜のささやき」全話はこちら
○当記事は各種の信頼できると考えられる情報をもとに作成しておりますが、その正確性・完全性を保障するものではありません。
また、今後予告なく変更される場合があります。

商号等/いちよし証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第24号
加入協会/日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会