
<ザ・アメリカンエクスプレス 3日目◇20日◇PGAウエスト スタジアムC(7187ヤード)、ニクラス・トーナメントC(7159ヤード)、ラキンタCC(7060ヤード・いずれもパー72、米カリフォルニア州)>
大会3日目、アマチュアのニック・ダンラップ(米国)がラキンタCCで1イーグル・10バーディの「60」をマーク。トータル27アンダーまで伸ばし、2位以下に3打差をつけて単独トップに立った。
「ものすごくパットが入ってくれた」と20歳の新星は笑みをこぼす。「一度もミスをすることがなかった。ティショットも良かったし、アイアンショットも本当に良かった。すべてがうまくいった」と興奮した。
ダンラップが叩き出した「60」は、2011年の「トラベラーズ選手権」でパトリック・キャントレー(米国)がマークしたアマチュア記録タイ。ただしキャントレーのときはパー70で10アンダーだったため、ダンラップの12アンダーはアマチュアによる最少ストロークとなった。
同大会は予選ラウンドで3コース回り、アマチュアとともにプレーするプロアマ戦。したがって「伝統的にはアマチュアが推薦出場することはない」というのだが、このダンラップは特別だ。
現在アラバマ大2年生で、昨夏に「全米アマ」を制した。タイガー・ウッズ(米国)以来となる全米アマと「全米ジュニア」の2大タイトル保持者となった。12歳で「59」を叩き出し、カレッジでも「60」をマークするなどずば抜けた力を発揮。ゆえにスポンサー推薦でプロ部門の出場がかなったというわけだ。
PGAツアーの長い歴史の中で、アマチュア優勝はこれまで7人が達成している。最も近年では、1991年にアリゾナ州立大生だったフィル・ミケルソン(米国)がアリゾナ州ツーソンで開催された「ノーザンテレコム・オープン」を制した。
勝てばミケルソン以来33年ぶりの快挙。しかし3打差にはサム・バーンズ、さらに1打差にはジャスティン・トーマス(ともに米国)がつけている。
「まさか大学生のキッズが60をマークしてくるなんて、思いもしなかった」と、ホストコースのスタジアムコースで「61」をマークしたトーマスも驚きの声を発した。こちらも2022年の「全米プロ」以来の勝利に向けて譲れないところ。
「PGAツアーで勝利…。そんなことはこれまで経験したことがないのだから、言葉にできない。とにかくあすはコースに出て、キャディの言うことをしっかり聞いて集中したい」とダンラップ。最終日はプロ対アマの熱い戦いになる。(文・武川玲子=米国在住)