米女子ツアー活躍が期待される西郷真央、吉田優利 馬場咲希は自身が一番プレーしたいのはどこなのかをよく考えて【原田香里のゴルフ未来会議】

ゴルフを愛するみなさん、こんにちは。原田香里です。12月も半ばを過ぎ、北の方では大雪に見舞われたようです。みなさん、安全に健康にお過ごしください。
さて、遅ればせながら来年の米女子ツアー出場を賭けたQTの話題と、その先の展望などをお話ししましょう。

すでにみなさんご存じのように、12月初めに行われたQシリーズ(QTのファイナルステージ)には、西郷真央さん、吉田優利さん、馬場咲希さんの3人の日本勢が挑み、西郷さん、吉田さんの2人が20位以内に入り、来季の序盤戦で比較的多くの試合に出られるカテゴリー14の資格を獲得しました。

2人は、実績(ロレックスランキング)によってステージⅠ、ステージⅡを免除されてQシリーズに参戦。西郷さんは日本の最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」に出ずに早めに現地入りをして準備を整えたのに対し、吉田さんは最終戦でプレーしてから乗り込みました。試合前の過ごし方はそれぞれでしたが、結果としては2人とも6日間しっかり自分のゴルフを貫いて、西郷さんはトータル26アンダー・2位タイ、吉田さんはトータル19アンダー・7位タイで見事に目的を果たしたのです。

思い返せば2022年、開幕戦で初優勝した西郷さんは、序盤戦で怒涛の5勝を挙げました。けれども、その後スランプに陥り、ちょうど1年前の最終戦ではどん底にいました。予選落ちのない大会だけに4日間で通算35オーバー最下位。ドライバーが怖くて振れないという状況だったのです。そこから徐々に自分を取り戻し、2023年は海外に積極的にスポット参戦して経験を重ねました。日本ツアーでも「伊藤園レディス」で復活優勝を飾り、自信を持ってQシリーズに臨んだのです。

初日からスタートが遅れたり、途中1日、悪天候で順延になったりする中、動じることなくショットは完璧。惜しいパットもたくさんあっても、トータル26アンダーというスコアをしっかり作ってのツアーカード獲得には、自信がにじみ出ています。スランプも含めたこれまでの経験を糧にして、自分を磨き続けてきたことがわかるゴルフでした。

吉田さんも、得意のショートゲームを生かしつつ、ゲームマネジメントをしっかりとして6日間でトータル19アンダー。寒かった最終日だけオーバーパーでしたが「どんな調子でもスコアメイクをするのがプロゴルファーだと思っています」という言葉通りのゴルフを見せてくれました。

この言葉、本当にその通りです。プロゴルファーがどうあるべきかを、吉田さんはよくわかっていますね。笑顔でプレーしている印象が強いと思いますが、そのなかで自分を強く持つ芯のあるプレーヤーです。自分がどうあるべきか、どうなりたいかを、常に言葉にすることで、自分にも言い聞かせているような気がします。西郷さんと吉田さんが、来季の米ツアーでどんなプレーを見せてくれるのか、本当に楽しみです。

残念ながら今回は62位タイと米ツアーカード獲得には及ばなかった馬場さんは、来年どこでプレーすることになるのかが気になるところです。Qシリーズと日本のQTファイナルの日程がかぶってしまうため、日本のQTランキングはありません。日本のプロテストに合格しているので、国内女子下部のステップ・アップ・ツアーは全試合に出られます。また、主催者推薦も3試合を上限に得られるはずです。米国は、下部のエプソンツアーに出場することができますが、どこを中心にプレーするかは、これから家族と相談して決めるそうです。

今回の結果は残念でしたが、まだ高校卒業前の若い馬場さんだけに、慌てることはありません。経験値を挙げているのはまちがいないのですから「この先、どこのツアーでやっていきたいか」というシンプルなことを一番大切にして、来年だけでなく将来に向けて、プロ1年目をどう過ごすか考えるのがいいと思います。昨年、全米女子アマで優勝したことでもわかるように、実力は十分なので、ここに経験が加われば、大きく花開く可能性は十分にあります。ぜひ、自分の将来を長い目で見て欲しいものです。

■原田香里(はらだ・かおり)
1966年10月27日生まれ、山口県出身。名門・日大ゴルフ部にで腕を磨き1989年のプロテストに合格。92年の「ミズノオープンレディスゴルフトーナメント」でツアー初優勝。93年には「日本女子プロゴルフ選手権大会」、「JLPGA明治乳業カップ年度最優秀女子プロ決定戦」勝利で公式戦2冠を達成。通算7勝。その後は日本女子プロゴルフ協会の運営に尽力し21年3月まで理事を務めた。

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