勝みなみが魅せた“ミラクル・バーディ” トリプルボギーにめげず『パター大作戦』で華麗に復活

<ザ・アニカ・ドリブンbyゲインブリッジatペリカン 3日目◇11日◇ペリカンGC(米フロリダ州)◇6349ヤード・パー70>

スタート時にはリーダーボードの上から2番目にいた勝みなみが、早々にその場所から消えた。トラブルに見舞われ、出だしの1番でいきなり大ピンチを迎えた。ティショットを左に曲げ、そこからグリーンを外し、さらにパターでの寄せで2度失敗。5オン2パットのトリプルボギーで、いきなり大きなハンデを背負った。
今週のコースはグリーンの傾斜が入り組み、それだけでなく少しでも位置が悪ければ傾斜を転がり落ち、窪地へと沈む。勝は大会前からこれを警戒。無理にウェッジで打つよりも、安全に乗せるためにパターを使うと宣言してきた。

1番もその通りに打ったが、失敗。スタートホールからいきなり窮地に追い込まれた。「自信はないですけど、とりあえず一番良いのはパターかなと思って」。予選ラウンドからとってきた作戦で3つもスコアを落としたが、「もう忘れてました」と後半もこの作戦を決行。最終組を回ってギャラリーも多くつく中で、パター作戦がミラクルを生み出す。

もう少しでホールインワンというショットで奪った12番から、3連続バーディで迎えた15番パー3。ティショットはピン方向に飛んだが、奥に向かって下る傾斜に落ちたボールはグリーンを転がり、スコアボードの下に消えた。ピンまでおよそ22ヤード。上って下る傾斜で、救済を受けてドロップした勝は、迷わずパターを手にした。

「ウェッジという選択はなくて、パターで失敗してもいいかなと思ったので、本当によかった」。勢いよく飛び出したボールは上り傾斜で減速しグリーンを捉えると、そこから下りの傾斜を転がり、ド派手にカップイン。作戦通りの一打は最高の結果に終わり、最終組についた大勢のギャラリーから大歓声を受け、笑顔で応えた。

続く16番ではカップに蹴られバーディを逃したが、17番でも妙技を見せる。フェアウェイからの2打目は砲台グリーンの右ピンのさらに右に飛び、またも傾斜を下って絶体絶命のピンチ。ピンまではかなり急な上り傾斜となったが、ここでも迷わずパターを握った。「(ウェッジの)アプローチを選んでダフって戻ってくるよりは、パターでオーバーしても上りが残る」。グリーンに乗ってからは下り。ピンを過ぎても、返しは上りのパットと腹をくくった。

そんな一打は思いのほかスピードを殺され、乗っただけ。「おー、やべーと思って」と冷や汗をかいたが、なんとかグリーンに止まった。そこから下り5メートルが残ったが、今度は沈めてパーセーブ。『アンビリーバル!(本当にすごい!)』の声を受け、最終ホールへと進み、トリプルボギースタートの1日を2アンダーで締めくくった。

練習ラウンドの時点でキャディのトム・ワトソンさんと打ち合わせしてきたパター大作戦。芝が薄く、ペタペタのグリーン周りでウェッジを持つ危険を排除。初めてのフロリダ芝でとってきた安全策が、起死回生の武器になり、上位のまま最終日へと向かう。

「あしたも粘るゴルフが必要になってくると思うし、粘って粘って、ひとつでも多くバーディを獲って伸ばせるように頑張りたい」。出場者がポイントランキング上位60人に限られる次週の最終戦進出には、今大会でのトップ3入りが最低条件と見られる。それでも目指すは、目先の一打にどれだけ集中できるか。米ツアーの1年間で得た経験と学びをかき集め、勝らしいドラマチックなゴルフでシーズンを締めくくる。(文・高桑均)

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