第68話 ロボット×AIと投資(その2)

株の神様に投資の本質を教えてもらっているTさんは、成長が期待されるロボットやAI等の新技術が本当に人類にとって良い発展をもたらすのか、少し不安も感じ、神様に聞いてみました。神様は、新技術活用の対象分野、活用の原則や規範がポイントと話しています。

T:医療分野のように、人の役に立つ分野の研究開発に熱心な企業への投資について検討をしなさいというのはわかりやすいです。他にも人の命に係わる危険な作業の代替といった分野もありますよね。高濃度の放射線のある場所での作業や、高所作業など。実際、福島第一原発ではロボットが活躍していますものね。

神様:ロボットはもともと、チェコスロバキアの作家であるカレル・チャッペクの造語です。「ロボット(R.U.R.)」において登場するロボットは、人間のあらゆる労働を肩代わりしてくれる人造人間ですが、やがて反乱を起こし、人類を滅ぼします。

T:メアリ・シェリーのフランケンシュタインも人造人間の悲劇の物語でした。そのあたりなんですよね、私が不安に感じる根っこは…

神様:だからこそ、活用の原則や規範が鍵となるのです。アイザック・アシモフが提唱するロボット三原則はご存知ですよね?

T:「人間への安全性」「命令への服従」「自己防衛」の3原則ですね。アシモフは、確か米国のSF作家で、自身の作品の中でロボットが従うべき行動原理として、ロボット三原則を提示したんですよね。

神様:ロボット三原則は小説上の概念のみにとどまらず、現実のロボット工学にも影響を与えたと言われています。それも頷ける重要な規範です。

T:確かにロボットは運用次第では凶器にもなるでしょうが、規範を定め、それを開発する人間の英知によって守ることができれば、良い方向にも持っていけるということでしょうか。

神様:そうですね。現実に目を向ければ、近未来の日本の産業の多くのシーンにおいて、ロボットは不可欠の存在となるはずです。このロボットは必ずしも「ヒト型」だけではなく、人間の代わりに何らかの作業を自律的に行う装置や機械でもあり、製造業、商業、サービス、交通、教育、ヘルスケア等々様々な分野での活躍が期待されています。

T:しかも、ロボットはもともと日本の得意分野です。

神様:だからこそ、日本は人間の定めた規範の下でロボットを運用することで、ロボットに使われるのではなく、あるいはロボットに取って代わられるのではなく、ロボットを使いこなす時代をリードしていく必要があります。単に便利になるからとか、儲かるからではなく、そのような本質を理解した上で研究開発、そして製品化する経営者には、投資という形で応援してもよいのではないでしょうか。

Tさんは、技術を生かすも殺すもやはり人間次第。技術の進歩にいたずらに不安になるよりも、人間の英知を信じ、その英知を持った経営者や技術者のいる会社を応援しようと思いました。

(この項おわり。次回9/20掲載予定)

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