
<日本女子オープン 事前情報◇27日◇芦原ゴルフクラブ 海コース(福井県)◇6528ヤード・パー72>
開幕前日の練習ラウンド。1番ティでスタートを待っている時、突然、目の前に現れた古江彩佳の姿を見て唖然とした。今年のプロテストを受験しているアマチュアの清本美波(愛知・誉高3年)に、ナショナルオープンだからこそのビッグサプライズが訪れた。
「びっくりしました。『えっ?』って感じで。練ランなのに緊張しました(笑)」。ともに153センチと背丈も同じとあって、普段から参考にしている選手が目の前にいる。「父からはスイングをマネしろ、って言われるんです」という“お手本”のプレーを間近で見ることができた。「ショートゲーム、ピンを狙うプレーの精度がすごいなって思いました」。その一打一打が刺激になる。
ほかにも荒木優奈(日章学園高3年)、大久保柚季という2人のアマチュアも一緒にプレー。それでも緊張感に加え、「邪魔したらいけないと思って」とアドバイスを求めることもなく、淡々と静かな時間が過ぎていった。ラウンド後には、記念写真を撮影したかったが、なかなか自分から声をかけることはできない。そのことを知った古江が、自ら近づいていき、1枚の写真におさまることができた。
今年はプロテスト受験の年。8月に滋賀で受けた1次は、3日間でトータル19アンダーをたたき出しトップ通過を果たした。この後には10月10日から三重で行われる2次が控えており、それに向けても貴重な18ホールになった。そして今回の大会で目指すのは、その2次が免除になり、一気に最終に進める「ローアマチュア」。今は平均飛距離230ヤードというドライバーショットの距離を伸ばそうと、必死に練習を続けている。
「たまたま(同じ組で回った)」と言いながら結果的に “先生”になった古江は、アマチュア3人の気持ちも十分に理解している。「緊張してるやろなって。私もあまりしゃべるほうではないですし(笑)。私も(アマチュア時代に出場した日本女子オープンで)プロと一緒に回ったとき、しゃべれなかったことを思い出しました」。それでも世界と戦うために必要なものを、その背中で語った。
清本が、この日本一を争う大会で見せたいプレーは「ショートアイアンとウエッジ。90ヤードから130ヤードくらいのショットが得意です」というショートゲームの精度だ。まさに古江の武器と重なる。開幕前にいいイメージを頭に植え付け、それをこの大舞台、そして今年の大きな目標となるプロテスト合格につなげていく。(文・間宮輝憲)