
<ANAオープン 初日◇14日◇札幌ゴルフ倶楽部 輪厚コース(北海道)◇7066ヤード・パー72>
朝8時に降り始めた雨が10時30分ごろに強くなり、降雨のためコースコンディション不良で10時40分に競技が一時中断。その知らせのフォーンの音をインコース最初の組でスタートした鳥海颯太は、最終9番ホールのセカンドショット地点あたりを歩いているときに聞いた。
この時点で4アンダー首位タイに立っていた。鳥海たちは最終ホールも残すところあと半分。競技を中断することなくホールアウトすることを選択。そのホールをパーとした鳥海は、ツアーデビュー戦で、その初日をいきなりクラブハウスリーダーでフィニッシュ。
地元・北海道出身の鳥海は、2020年4月にプロ転向。これまで「5回くらい」予選会には挑戦してきたが、憧れの「ANAオープン」に出場できるまでには至らなかった。そして今年5月、「北海道プロゴルフ選手権」で優勝を遂げ、今大会の推薦出場の権利をつかんだ。「レギュラーツアーに出るのも初めて。緊張というか、ワクワクしていました。スタートホールで名前を呼ばれたときは、すごくうれしかったです」と、満面の笑顔で話す。
「コツコツやっていたら、前半で4つのバーディ。ビックリでした」というラウンドは、結果5バーディ・1ボギーの「68」、4アンダーでフィニッシュ。特に作戦はなく、楽しんで回った結果だったという。
開催されている札幌ゴルフ倶楽部輪厚コースは思い出深いコース。小学6年のときに「全道ジュニアゴルフ輪厚大会」で優勝を遂げた。この大会はその後も毎年勝ち続け、4連覇を遂げたという。それからもジュニア時代には何度も試合で輪厚を回った。だが2022年にコース改修をしてからは、「ラウンドする機会はそれほどありませんでした」というが、地元の思い出がたくさんあるコースでのツアーデビュー戦に、クラブハウスリーダーでのフィニッシュにはよろこびもひとしおだろう。
「明日からは天候も回復して、グリーンが速くなってくるでしょう。しっかりタッチを合わせていきます。今日はティショットがよかったのですが、明日以降もティショットを大事に攻めていきます」と話し、最後に「目標は予選通過です」と笑った。
昨年の初日首位のスコアは池田勇太らの8アンダー。スコアを伸ばしてくる選手は出てくるだろう。残り3日、この日の勢いのままシンデレラボーイとなれるか。鳥海にとって、これからが本当の正念場となるだろう。(文・河合昌浩)