“還暦で放送大学入学”麻木久仁子、受講した全科目が最高評価の「マルA」大学生活語る

【モデルプレス=2023/09/11】2023年4月、還暦を機に放送大学に入学したタレント・国際薬膳師の麻木久仁子(60)。今回、「学問の世界」に足を踏み入れて半年が経過した心境を語った。

【写真】麻木久仁子、大学入学決意の理由

◆麻木久仁子、還暦を機に放送大学入学

麻木は2010年に脳梗塞を経験し、2012年に初期の乳がんが見つかった。食生活を見直し、国際薬膳師、国際中医師、温活指導士の資格を取得。食を通して「体を温め、免疫力を高める」という考えなどを多方面で提案し、60歳になったことがキッカケで漠然と学びたいと思っていたことを「いつかやろう」ではなく「今やろう」と決意。放送大学の門戸を叩いた。

放送大学(文部科学省・総務省所管の通信制大学)は、4月と10月の年2回、出願書類による選考で入学可能。BS放送、ラジオ、ネットなどを通じて好きな時間に学習できることが特徴で、大学卒業(学位取得)を目指す「全科履修生」(最大10年間まで在学可能)、好きな科目だけ学べる「選科履修生」、「科目履修生」がある。

麻木は2023年4月から「選科履修生」として「がんとともに生きる(’18)」「フードシステムと日本農業(’22)」「食と健康(’18)」「食の安全(’21)」の4科目を受講した。半年間の学習を終えた麻木にインタビューを行い、60歳からの挑戦となった「学問の世界」に足を踏み入れた感想を尋ねた。

◆麻木久仁子、入学から半年で変化

― 前期の過程を終えました。まず、実際に入学してみた放送大学の印象からお願いします。

“大学感”がありました。カルチャーセンターとは違って「まさに大学だな」と感じました。

― 講義の方はどうでしたか?

「食と健康(’18)」「食の安全(’21)」は化学や生物などの基礎的なことを理解する必要があったので最初は少しあたふたしてしまったのですが、回を重ねるごとに“食”について理解を深めることができました。実生活の中でも、普段何気なく接していたニュースや情報に対するリテラシーがあがったと思います。

例えば、CMや情報番組などで「体にいいですよ」と言われたとき、入学前は漠然と「そうなんだ」と聞いていたのですが、「こういうふうに摂取されて、こうやって代謝されるから体にいいのかな」と思えるようになりました。いい意味で批判的に見ることもできるようになりましたし、日常生活に直結して役に立っているなと感じます。

安全係数というものもどう測定して、添加物の基準はどうなっているのかも分かるようになったので、スーパーで食材を買う時にラベルをちゃんと見るようになりました。ラベルに書かれている情報に触れたとき、「先生がおっしゃっていたのはこのことかな」と連想できるようになりました。

自分自身の“食”というテーマに沿って役に立ちそうな講義だけを選んだのですが、「間違いなかった!」という実感があります。

◆「食をシステムで捉える」という発想に新鮮な驚き

― 「フードシステムと日本農業(’ 22)」はどうでしたか?

驚いたのが、私たちが支払っている食材費の中で最も多くの割合を占めるのが流通に掛かる費用だということでした。そのことを知ってからはトラックのドライバー不足の問題とか、どこかの倉庫で火災が発生したとか、どこどこでストライキが起こったなど、以前は“食”というテーマに関係するとは思えなかったことが実は私たちの“食”に関係していることを知りました。食材の値上がりも生産地だけの問題ではなく、食材が私たちに届くまでに多くの過程を経て膨大なコストが掛かっていることが影響しているのですね。

「フードシステムと日本農業(’22)」は大きな概念で多様なことを扱っています。私自身講義を受けるまでは「食をシステムで捉える」という発想がなかったので、毎回毎回が新鮮でした。新しく触れる知識の量も多くて教科書が線だらけになってしまったのですが、娘から「全部に線を引いてるじゃない」「大事なとこだけ引くものでしょ」と突っ込まれてしまいました(笑)。

◆ディスカッションに参加 他の生徒たちとも「交流してみたい」

― 「がんとともに生きる(’18)」も受講されました。

「がんとともに生きる」は「治療以外のがんを取り巻くものごと」をテーマにした講義で、例えば「がんサバイバーがどう仕事を続けるのか」、「家族にがんの方がいる人はどう生活するのか」、「がんと闘っている人を地域がどうフォローするのか」などを学びます。

先日、用事があって「国立がん研究センター」(東京・築地)に行きました。国立がん研究センターの8階は「患者サポートセンター」になっていて「がん相談支援センター」などもあります。それまで8階には行ったことがなかったのですが、今回初めて行きました。「がんとともに生きる」で扱っていたことに関する資料などもたくさんあり、学んだことは机上だけで終わらずに生活に密着しているのだなと実感しましたね。

― 「がんとともに生きる(’18)」で思い出に残っていることはありますか?

テレビやラジオの講義では、講師の先生は雑談などをせず45分間必要なことだけを密に話してくれます。それは良い意味で緊張感のある時間なのですが、学生側がその場で質問したりすることはできません。ですが「がんとともに生きる(’18)」の中ではみんなでディスカッションをする回がありました。名前が表示されて、チャットのような形で参加するのですが、「こういうことを考えている方が同じ講義を受けているのだな」と感じることができました。いつか、放送大学で一緒に学んでいる方とも交流してみたいです。またライブウェブの講座もあるそうなので、今後選択肢に入れていきたいと考えています。

◆インターネットによる試験にも挑戦 準備万端で問題なし

― 講義の内容以外に、受講システムなどでわかりにくい点はありましたか?

放送大学には「WAKABA」というオンラインシステムがあります。「がんとともに生きる(’18)」は講義を全部WEBで受けて、小テストもWEBで、レポートもWEBで提出しました。「WAKABA」には必要なことが全部丁寧に案内されているので、問題なく終えることができました。レポートは書き方が分からなかったのですが、「WAKABA」に書き方の手引きがありました。「WAKABA」でテストの過去問題も見ることができます。今後さらに「WAKABA」を使いこなせるようになれば色々なことができそうなので、後期はもっと活用したいです。

― IBT(インターネットを利用して実施する試験)にも挑戦されました。

システム自体は問題なかったのですが、自宅のパソコンの回線事情に気を遣いました。また、当初は試験は期限ギリギリに受けようと思っていたのですが、もし駆け込みで試験を受けると回線の混雑が心配でしたので、余裕を持って1週間前に受けました。「試験の受け方」というシミュレーションページがあり、そこで一度模擬問題で試験を受け、こまめに保存しながら最後に送信ボタンを押すところまでをシミュレーションしていたので、本番の試験は手順どおりにすんなり受けることができました。

― 放送大学のIBTは延べ約17万科目(同一人が複数科目の試験を受ける)、利用者数としては5万人弱が受験されたそうです。

そうなのですね。私自身はパソコンはぜんぜん得意ではなくむしろ不慣れな方なのですが、シミュレーションページを利用したおかげで問題なく終えることができました。

◆単位は「オールA」ですべて取得

― 単位の取得状況が気になります。

おかげさまで全部取得することができました。60点以上を取れば合格なのですが、4科目とも90点以上を取ることができました。80点以上が「A」判定で、私はすべて「マルA」を頂きました。興味のある科目に絞って集中して勉強できたのが良かったのだと思います。

◆前期を終えて視野が広がり、後期の授業に期待

― 10月から始まる後期では「健康と社会(’23)」「睡眠と健康(’21)」「発達心理学概論(’17)」「健康長寿のためのスポートロジー(’19)」を受講されます。

私はもともと東洋医学の薬膳の普及に取り組んでいるのですが、東洋医学では食だけではなく睡眠や運動や感情など多くのことを全体的に整えることで健康な体を作ろうと教えています。

前期に「フードシステムと日本農業(’22)」を受けて、“食”というテーマは“食に関すること”だけじゃなくもっとたくさんのことが関係していることを知りました。「がんとともに生きる(’18)」では、がんは医学だけの問題ではなく周りの人や地域がどうフォローするかなどもっと広い社会の問題であることを学びました。

前期に講義を受けたことで、後期の科目を選ぶ際の目線自体が変わりました。私が学びたいのはあくまで“食”なのですが、後期は睡眠や心理学、あるいは人々の観光に関わる社会の環境などにも目を向けたいと思っています。最近「夏休みに給食がなくなることが子どもたちの健康にどう影響するのか」などのニュースをテレビで見ましたが、そういう時にも10月から学ぶことがらについて、期待が膨らみます。

◆漠然と感じていたことを理論として理解「面白いですね」

― 経験を積んだ麻木さんだからこそ、学ぶことの奥深さを実感されているのかもしれませんね。

若いときは社会経験が浅いので学んだことと生活が結びつかなかったのですが、この年まで生きて、がんも経験してみると、放送大学で学んでいることが色々なことに繋がって行くことを感じています。生活の中でさまざまなことを感じても、それらは理論にはなっていなくて、印象や感覚でしかなかったのですね。

それが学問の世界に足を踏み入れてしっかりと学ぶことで、理論として理解することができ、「私の印象は間違ってなかった」とか、逆に「そんなこと知らなかった。私の感覚はぜんぜん違ってたんだ」と気づくことができます。人生の中で積み上げてきた経験が色々なことに結びついていくことって面白いですね。

◆実生活でも変化、スーパーで商品を奥から取らなくなった

― 生活への影響はありましたか?

私は講義を聴講するだけなので、すでに確立した知識を受け取るだけなのですが、この講義の上流では学者の方が日々研究を重ねて学説を生み出しているのだと思います。そういうことの恩恵が連鎖して、現実の人々の生活に落とし込まれて、スーパーの売り場の構成になったり、私たち消費者の行動に影響しているのだと想像することができるようになると、学問の世界に対する尊敬の念が生まれました。

放送大学に入学する前は“学問と生活の中で感じることが結びつく”という感覚がなかったのですが、例えばフードロス問題の解決には心理学も関連してくるとか。日々の生活をより良きものにするためには、理論やエビデンスが大切で、それをもとにさまざまな社会のシステムが構築される。その中で私たちの意識も変わり生活も変わるんだなと。

若い人は「大学の勉強なんて役に立たない」と思うかもしれませんし、近頃は「直接利益を産むような研究以外は無駄だ」というような風潮もあるようです。でも、学問が生活に結びついていることに気づくと学ぶことが面白くなるし、人の世の森羅万象あらゆることに研究する意義があるのだなと感じるようになりました。

― 麻木さんの世界がどんどん広がっていきそうですね。

今はまだインプットを始めたばかりなのですが、前期の科目を受けたことで視野が広がりました。後期の科目を受講することでさらにたくさんのことを学びたいと思っています。

そうやってどんどん知識と視野を広げていけば、“食”に関するアプトプットに繋げることができるんじゃないかなと思っています。例えば今後“食”に関する発信をするときも放送大学に入学する前とは違った視点を持った発信ができればと思っています。

◆還暦を迎えての入学に大きな反響

― 4月に「入学のニュース」が出ましたが、周りからの反響を教えてください。

子育てや仕事が一段落したり、定年退職した人など私の周りには時間ができて学びたいと思っている人がたくさんいます。そういう人たちから「放送大学って大学だから入学したら語学から何から全部やらなきゃいけないんでしょ?」、「大変すぎて私には無理」と思っている人が多かったみたいです。「自分の好きな科目だけ受講することなんてできるの?」とたくさん聞かれました。

― 多くの方が放送大学はハードルが高いと誤解されているようですね。

私自身も以前はそう思っていましたから。でも実際には自分の生活に合わせて、科目数も、時間も、分野も自由にセレクトできるので、ハードルは高くはない。むしろ思い立ったときこそが始めどきです。ですので「ぜんぜん大変じゃないですよ」「自分のペースに合わせて負担のない形から始めることができますよ」と答えています。

実際の講義自体は濃密なのですが、そこは“知の世界”ですから大いに楽しんで頂ければと思います。

◆麻木久仁子「学ぶって変わること」「だから学ぶことは楽しい」

― 麻木さんにとっての放送大学の1番の魅力は何ですか?

オーダーメイドできるところです。週に1科目だけを受講することもできますし、「全科履修生」になって学位取得を目指すことも可能です。自分のやりたいことに合わせて利用できる点がいいですね。

― 麻木さんのこれからのご活躍がさらに楽しみになりました。

しっかり学んで、学んだことをアプトプットしていきたいです。まだ学び始めたばかりなので「こうなります」と具体的にお話することはできないのですが、学べば必ず人は変わると思います。ドラスティックに変わることはないかもしれませんが、私の生活はすでに少しずつ変わっています。年をとっても幾つになっても、学べば人は変われると思いますし、だからこそ学ぶことは楽しいと感じています。

(modelpress編集部)

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