通算23勝のベテランが下部ツアー参戦で思い出した“あるべき姿” 「試合に出られる感謝もなさすぎました」

<日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯 3日目◇9日◇パサージュ琴海アイランドゴルフクラブ(長崎県)◇6755ヤード・パー72>

昨年、20シーズン守ってきたシードを喪失した44歳の大ベテランが、2017年には優勝もしているメジャー大会で圧巻のプレーを披露した。李知姫(韓国)が、この日のベストスコアとなる「67」を記録した。
3オーバー・49位タイで予選を通過すると、10番スタートの裏街道からスルスルとリーダーボードを駆け上がっていく。前半、後半で3つずつバーディを奪う内容は「完璧でした」。最終9番のパー5は右ラフから奥のバンカーに入れ、この日唯一となるボギーを叩いた。これには悔しそうな表情も見せるが、「ショットが良かった」と生命線のアイアンには満足感がうかがえる。

猛暑の影響で芝が枯れ、砂交じりになったグリーンについては「本当に難しかった」と、他の選手と同様のリアクション。ただ、そんなコンディションに加え、傾斜にピンが切られたことで、この日難易度1位になった17番パー3では、百戦錬磨の技も見せた。横9メートルほどからのバーディパットを、奥に大きくふくらませて打ち、これを決める。「勢いよく入ったので、外していたら5メートルくらいは遠ざかってました(笑)。これで流れが良くなりました」と振り返るビッグプレーだった。

2000年に日本のプロテストに合格し、以降、レギュラーツアーで23勝を積み上げてきた。しかし昨年、メルセデス・ランキング81位と低迷しシードを失うと、QTも63位と結果を残せなかった。そのため今季はプロ1年目以来となる下部のステップ・アップ・ツアーにも参戦。先週の「山陰ご縁むす美レディース」ではステップ初優勝も果たした。

当初は迷いもあった下部ツアーでの戦いだが、いざ会場に行ってみると「こっち(レギュラーツアー)より友達や同期がたくさんいた(笑)。みんな楽しそうにゴルフをしていて、見習わないとと思いました」。そこで頑張る同年代の選手の姿が、刺激にもなった。「セルフプレーに慣れるのは大変。自分でクラブを選んだり」と戸惑いはまだあるが、ここまで5試合に出場している。「いつでもやめられるから、もう一回(イチから)やってみよう。今の“普通”が、乗り越えられるものなのか、ゴルフ生命が終わるものなのかを試したい」とも話す。

21度目の出場となる選手権は「ちゃんと終わらせる」ことが目標と笑う。「みんなが楽しくプレーしている姿を見たら、苦労してやるものじゃないって思えた。今までは試合に出られることに対する感謝の気持ちもなさすぎました」。これまで当たり前だったものが当たり前ではなくなり、ゴルフに対する考え方も変わっている。

この大舞台が終わったら「今年はステップで頑張る」と気持ちを切り替えていく。もちろん目指すのは、レギュラーツアーへの復帰だ。14位タイで迎える最終日も、その技でコースを盛り上げたい。(文・間宮輝憲)

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