
<横浜ミナトChampionship ~Fujiki Centennial~ 初日◇3日◇横浜カントリークラブ(神奈川県)◇7231ヤード・パー71>
2018年に同コースで行われた「日本オープン」の覇者・稲森佑貴が1イーグル・5バーディ・1ボギーの「65」と会心のプレー。6アンダー・首位タイで初日を滑り出した。
後半の13番パー4でボギーを叩くが、「小さなピンチはあったけど、大ピンチはなかった。13番のボギーは自分のパットのミスだったのでしょうがない」と気持ちを切り替えられた。
15番パー4のバーディですぐに取り戻すと、237ヤードの難関・最終18番パー3(実測値233ヤード)では左手前3.5メートルにつけた。「狙って打った」というスライスラインを読み切り、見事なバーディフィニッシュで初日を締めくくった。
予感はあった。開幕前のインタビューでも話していた通り、「使用ホールが同じ(2018年日本オープン時と)ってことは、ある意味で有利。ホームに帰ってきたようなもの」と語っていた稲森。今日はさらに、「原点回帰」という言葉も付け加えている。
ラウンド後に、このコースは自分に合っていると思うか? と問いかけると、「イメージは出しやすいです」とやや控えめな答え。また、優勝スコアは15アンダー以上と予想していた稲森にとって、今日の6アンダーは想定内だったのでは? と続けて聞いたが、「今日のような風はめったに吹かないので、我慢比べのラウンドになるかなって思ったんですけど、思いの外良かった」と、あくまでも謙虚だ。
それもそのはずで、蝉川泰果が12番のパー4で『9』を、石川遼は11番パー4でダブルパーの『8』を叩くなど、このコースは、少しでも油断すると簡単にダボ以上の大叩きをしてしまう危険性がある。そのことを十分に理解しているからこその言葉だったのだ。
プライベートでも年に1、2回はラウンドをするという稲森。横浜CCの怖さを知り尽くしている。「明日こそ本当に我慢のラウンドになるはず。ここからが本番だと思います」と気の緩みは一切見せない。楽観視するような気持ちを排し、自身を戒めるような心構え。ナショナルオープンを2度制している稲森の強みがここにある。(文・土屋裕一)