
<日本プロゴルフ選手権 3日目◇29日◇恵庭カントリー倶楽部(北海道)◇7441ヤード・パー72>
日本一曲げない男が“100%”で上位戦線に浮上した。11位タイから出た稲森佑貴は、5バーディ・2ボギーの「69」で回り、首位と5打差のトータル5アンダー・6位タイで最終日を迎える。この日は「気がついたらフェアウェイキープ率100パーセントでした」と持ち味を活かしてスコアを伸ばした。
「厳しい戦いです。ティショットが難しい」。フェアウェイは左右に傾斜をしているところが多く、深いラフが待ち受ける。「ラフの威圧感がスゴイから、それで余計に狭く感じる」と7季連続フェアウェイキープ率1位の稲森もティショットの難しさを感じている。
そうはいっても日本一曲げない男は定位置にいる。「狙いをしっかり定めて、あとはしっかり振り抜く」とほとんどのホールでドライバーを握り、第3ラウンドはすべてフェアウェイをとらえた。大会3日間のフェアウェイキープ率は78.571%で堂々の1位。2位の岩田大河は61.905%だから他の選手と比べても大きなアドバンテージを取っている。
パーオン率も1位で79.630%とグリーンをとらえることに成功しているが、「パッティングがイマイチでした」とここまでスコアが伸び悩んだ。
3日目の12番パー5のバーディパットをど真ん中から沈めたことで気づきがあった。「最近、ハンドアップに構えて打っていたのですが、どうしても左サイドが浮いていました。昔のように手元を低くしてワキを締める意識で打ったら良くなりました。方向性もタッチも合ってきた」。17番、18番とも1メートル前後の距離だが曲がるラインで「タッチが合わないと入らない」難度の高いパットも沈めて連続バーディで浮上した。
通算4勝のうち2勝は「日本オープン」、1勝は難セッティングで知られる「中日クラウンズ」だ。正確性の高いショットを武器に難しいコースで強さが光る。「まずはボギーを叩かないこと。フェアウェイに打ってグリーンに乗せれば大きな“被害”にはならない。強敵だらけですが自分なりにがんばります。無意識でFWキープ率100%を目指します」。首位と5打差と差は小さくないが、日本タイトル3勝目はパット次第になりそうだ。(文・小高拓)