
ニューカッスル移籍が決定的と報じられているイタリア代表MFサンドロ・トナーリは、ミラン残留を希望していたようだ。イタリアメディア『ラ・レプッブリカ』が23日に報じた。
トナーリに関しては長きに渡ってミランの中心選手に君臨することが期待されていたが、21日付で衝撃のニュースが飛び込んできた。2022-23シーズンのプレミアリーグを4位で終え、新シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)出場権を獲得したニューカッスルが獲得を画策。移籍金6000万ユーロ(約93億円)を提示した初回オファーはミランに拒否されたものの、改めて7000万ユーロ(約109億円)に追加オプションが付随した条件を提示し、ミランはこのオファーを受け入れることに。7000万ユーロはイタリア人サッカー選手への移籍金としては史上最高額だ。『ラ・レプッブリカ』は追加オプションを含めてミランは最大8000万ユーロ(約127億円)を手にする可能性があると報じている。
トナーリの年俸も、ミランから受け取っている約350万ユーロ(約5億円)からおよそ3倍ほど増加。イタリアメディア『ゼッタ・デロ・スポルト』によると、800万ユーロ(約12億円)に200万ユーロ(約3億円)の追加オプションが付随した条件となる見込みだ。、『ラ・レプッブリカ』は最大で年俸は4倍に上昇すると報道。2029年夏までの6年契約は正式発表間近となっている。
しかし、トナーリ自身の意思はミランの考えとは裏腹なものだったようだ。スカウト部長を務めるジェフリー・モンカダ氏は、ニューカッスルへの移籍を拒否すれば2027年夏以降の契約延長交渉に応じる予定はないと通達。現在U-21イタリア代表の一員としてU-21欧州選手権(EURO)に参戦しているトナーリは、ミラン残留を希望し、将来はクラブの“バンディエラ”になることを夢見ていたため、この電話を受けて涙を流したという。
一方で、トナーリに移籍を通達したのはモンカダ氏ではなく、トナーリの代理人を務めるジュゼッペ・リーゾ氏だという報道もある。『ガゼッタ・デロ・スポルト』によると、トナーリは移籍が成立した背景も理解した上で、今回の決定を冷静に受け止めていると主張。リーゾ氏自身が涙を流したという噂を否定している。
現在23歳のトナーリはブレシアのアカデミーで育ち、2017-18シーズンのセリエB第1節ヴェッリーノ戦でトップデビューを果たした。2020年夏に「夢だった」というミランに加入。背番号「8」を打診された際には、“ロッソネロ(ミランの愛称)”のレジェンドでもあるジェンナーロ・ガットゥーゾに“許可取り”を行ったことも報じられた。ミランでは中盤の一角として主力に定着し、在籍した3シーズンで公式戦130試合に出場。7ゴール13アシストを記録していた。2021-22シーズンにはクラブにとって11シーズンぶりの“スクデット”に大きく貢献。2022-23シーズンはCLでのベスト4入りも経験した。
今夏までテクニカル・ディレクター(TD)を務めていたパオロ・マルディーニ氏が“非売品”とするなど、長きにわたってミランを支えていくと思われていたトナーリ。果たして、トナーリと“ロッソネロ”の物語はわずか3年間で幕を閉じることとなるのだろうか。