インサイドハーフで旗手と新コンビ結成へ 今季最終戦で鎌田大地は何を見せるのか

『キリンチャレンジカップ2023』の日本代表vsペルー代表が20日、パナソニックスタジアム吹田で行われる。

 15日のエルサルバドル戦を6-0と大勝し、新体制初勝利を飾った日本だが、開始早々に11対10の数的優位になったこともあり、テストとしては不十分とも言えなくなかった。それだけに、FIFAランク21位と、日本の20位と拮抗しているペルーとの対戦は、より重要な試金石となるだろう。

 指揮官は今回も4-1-4-1の布陣で行く意向で、18日の練習時の紅白戦では1トップに古橋亨梧が入り、右FW伊東純也、左FW三笘薫の3トップをスタメンで起用する見通しだ。

 一方で中盤はアンカーの遠藤航の前に、鎌田大地と旗手怜央のインサイドハーフを配置するとみられる。

「怜央の方が組み立てとかで僕より優れている部分があると思うし、自分はゴール前に顔を出せるところは出したりしたい。左右のFWによってサポートに行く、行かないとかいろいろ変わってくるし、組み合わせによってうまくやっていけたらいいと思います」

 鎌田がこう語るように、強度とダイナミックさを併せ持つ旗手と組むことで、よりゴール前の迫力を出したいと考えている様子。そういう意味で期待は高まる一方だ。

 フランクフルトでの鎌田は今シーズン、公式戦合計16ゴールという実績を残している。アシストを含めるとスコアポイントは22。FIFAワールドカップカタール2022後のシーズン後半は思うように得点に絡めず苦しんだが、「自チームでは、今の代表メンバーの中でもいい成績を残せている」と自信を深めて欧州から戻ってきた。

 けれども、国際Aマッチ28試合出場6ゴールという代表での実績は、本人にとって「物足りない」という感覚なのだろう。特にカタールW杯で1点にも絡めなかった点は不本意だったに違いない。「代表に関してはそれほどいい成績を残せていない。自チームと代表の両方で結果を残せたらいい」と本人も偽らざる本音を吐露している。

 ポジションに関しても「ここ2年前くらいは僕に対して『トップ下しかできない』という印象だったと思う。自分の周りの感覚がズレていた。でも今シーズン、フランクフルトでボランチをやることで、『もう1個、後ろもできる』という感覚を持ってもらえたのかなと。それは自分自身にとっていいこと。いろいろな役割ができたらいいなと思います」とコメントしていた。

 何度か代表でトライしているボランチに加え、インサイドハーフでも異彩を放つことで、「多様な能力を示せるハイレベルなMF」だと今一度、ピッチで実証したい。鎌田はそう考えているのだ。

 そのうえで、2022-23シーズンのラストマッチとなるペルー戦で代表7得点目を奪えれば理想的。昨年9月のアメリカ戦以来、ゴールから遠ざかっているが、ここから絶対的な存在になるためにも、数字を積み上げるべき。それは不可欠なテーマと言える。

 代表77試合11ゴールの中田英寿、98試合24ゴールの中村俊輔、97試合31ゴールの香川真司といった先人たちに追いつき追い越そうと思うなら、ここから急激なペースアップが必要になる。「2026年北中米W杯では主力の1人として日本を引っ張る」と目標を掲げる男は、背番号15から8に変わった初陣で強烈なインパクトを残したいところだ。

 その先には、新天地での新たなチャレンジが待っている。すでに各国メディアでミラン移籍が報じられている通り、ペルー戦直後には正式発表の運びとなるはずだ。

「代表ウイークが終わればもう決まるだろうし、そこに行けば新しい競争があったりとか、大変だと思いますけど、新シーズンに向けてしっかりいい準備をしていきたいと思います」と本人の目は未来に向いている。

 フランス代表FWオリヴィエ・ジルーらを擁するイタリアのビッグクラブでCL優勝を狙うという前々からの夢に向かっていく中で、鎌田が一皮も二皮も向けてくれれば、日本代表にとってもプラスしかない。森保一監督もより信頼を深めるだろう。カタールW杯での日本代表は伊東、三笘の両サイドからのアタックに攻撃が依存しがちだったが、中央からも迫力ある攻めが仕掛けられるようになれば、敵により脅威を与えられる。鎌田にはその担い手になってほしいのだ。

 いずれにしても、ペルー戦でチームとして連勝し、彼自身もインサイドハーフで堂安律や久保建英とは違ったエッセンスをもたらし、ゴールという部分で違いを示してくれればベストだ。今回はこの男の一挙手一投足から目が離せない。

取材・文=元川悦子

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