一途な人ほどバンカーが苦手「一つの打ち方にこだわらない」【ゴルフが整う自律神経のトリセツ】

普段さまざまなハンディのゴルファーとラウンドをしますが、バンカーショットのミスをきっかけにリズムを崩す人が多いと感じます。特に、ラウンド頻度が月1回程度の人、90くらいのスコアで回る人は、その傾向が強いのではないでしょうか。
以前は私もその一人だったのですが、そうなってしまわないよう二つのことを実践しています。一つは、セカンドがバンカーに入ったらパーを諦めることです。
 
■ボギー「でも」いいやではなく、ボギー「を」獲る
 
アベレージゴルファーが「ボギーでもいいや」と、目標を切り替えるのは教科書どおりです。「いつもそうしていますよ」という人も多いでしょう。しかし、90前後で回る人の心の中では「ピンに寄せればパーが獲れる」という計算が、まだ働いているものです。
 
欲張っている自覚はなくてもピンに寄せようとリキみ、交感神経は一気に優位になります。これが大きなミスを招き、結果的にダボやトリになってしまうのです。ボギー「でも」いいやではなく、必ずボギーを獲る。その前提として、パーはきっぱり諦めると意識することが大切です。
 
そうすればピンに寄せる必要がなくなるからです。2パット圏内つまりグリーンに乗ればいいわけですから、ハードルはかなり下がります。落ち着いてクリアできるでしょう。
 
■ミスしたらすぐに打ち方を変える
 
もう一つは、1回打ってダメだったらすぐ打ち方を変えることです。バンカーからのショットは1打で2パット圏内に乗せればひとまず合格です。それを達成できなかった場合は、次のバンカーショットが重要です。例えば、“ホームラン”になって反対のバンカーに入ったときや“ザックリ”をしてボールが同じバンカー内に戻ってきたときです。
 
2度目も自分の打ち方にこだわる一途(いちず)な人ほど深みにはまります。最初に失敗したのと同じ打ち方をする限り、何度打っても同じ打球が出て当然だからです。
 
そこで私は、常に2種類のバンカーショットを打ち分けています。「一つの打ち方さえマスターできないのに打ち分けなんて!」と思うのは早計です。
 
90前後で回るような人は、少なくともクロスバンカーとガードバンカーの打ち分けはしているはずです。それくらい大まかに、「A.距離を出す打ち方、B.出さない打ち方」だったり「A.軟らかい砂質の打ち方、B.硬い砂質の打ち方」だったり、自分なりの分け方をしてみましょう。
 
たった2種類でも違う打ち方を持つことでプレーの幅が広がり、余裕も生まれます。AがだめならB。Bがだめなら再びA。二つの引き出しを活用することで、一度バンカーショットをミスしても落ち着いてリズムを持ち直すことができます。
 
その都度、ショットの目的意識をはっきり感じるでしょう。ぜひレベルアップに役立てて
ください。(文・小林弘幸 構成・野上雅子)
 
●小林弘幸/順天堂大学医学部教授 日本スポーツ協会公認スポーツドクター
1960年生まれ、埼玉県出身。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手やアーティストのパフォーマンス向上指導にかかわる。自律神経のバランスを意識的にコントロールすることにより心身の潜在能力を最大限発揮できることを提案し、テレビ番組等で解説している。著書も多数あり、2022年12月『ゴルフが上達する自律神経72の整え方』(法研)を刊行。

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