第348話 10人に1人が患者に 世界で増える”サイレントキラー”糖尿病

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、海の見えるカフェで投資談義を行っています。


T:いよいよゴールデンウィークです。昨年に続きコロナ禍による行動制限なしの長期連休となります。昨年を超える人出を期待したいですね。我が家も明日から旅行です。

神様:訪日外国人客も好調です。日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2023年3月の訪日外国人観光客数は1,817,500人。コロナ禍前の2019年3月と比べて34.2%減まで回復しました。ゴールデンウィークも訪日外国人客で賑わいそうです。また、観光庁によると2023年1月-3月期の訪日客の1人あたり旅行支出額(速報値)は21.2万円となり、2019年通年実績の15.8万円から3割増となったこともわかっています。

T:この調子で4月、5月とさらに訪日客が増えることを期待したいです。

神様:さて、遠出も良いですが、Tさんもこの連休を利用して身体のメンテナンスをしてみてください。運動や食事など、この機会に健康について見直してみませんか。

T:いいですね。ぜひそうしたいです。しかし、突然どうしてでしょうか?

神様:今日は「糖尿病」をテーマにお話します。今、世界的に糖尿病患者数が増加基調にあります。国際糖尿病連合(IDF)によると、世界の20歳から79歳までの糖尿病患者数は、2021年で5億3,700万人と言われています。それが2045年には2021年比で46%増加となる7億8,300万人へ拡大するとの見込みです。糖尿病の世界での成人罹患割合は、2021年に10人に1人となり、2045年には8人に1人になると予測されています。

T:なるほど。世界的には人口が増加基調であり、多くの国で食生活も豊かになっていく中で、糖尿病は気を付けなければならない病気ですね。日本国内ではどうなのでしょうか?

神様:国内の患者数も多いです。厚生労働省の「令和元年 国民健康・栄養調査」では、糖尿病が強く疑われる者の割合は20歳以上の男性は5人に1人、女性では10人に1人であるとされています。また男女ともに、年齢が上がるにつれて割合は増加しています。

T:男性にとっては特に深刻な状況ですね。

神様:糖尿病は、肝臓から出るホルモンであるインスリンが十分に働かないため、血液中を流れるブドウ糖(血糖)が異常に高くなる疾患です。糖尿病は即座に深刻な状態に陥らないため「サイレントキラー」とも呼ばれています。一方で、進行すると神経障害や網膜症、腎症などの合併症を引き起こす可能性が高まります。治療には食事制限や運動などが行われ、糖尿病予防の観点からも、普段の生活習慣がとても大切です。

T:そう言えば認知症も、食事のバランスに気をつけ、運動習慣を身につけるなど、普段からの生活習慣が予防につながる(第343話 2050年に世界で1億5000万人が認知症…治療薬はできるのか?)のでしたね。今後世界的に高齢化が進むとされる中、糖尿病も認知症も増加していくとなると、なかなか大変な世界が待ち受けていそうです。

神様:その通りです。認知症も糖尿病も、日本が今取り組んでいる課題はこれから世界の課題となっていくものです。今後、世界的に糖尿病患者数が増加するのであれば、糖尿病の治療に用いられる薬や、弱ってしまった腎機能を補うための人工透析などの必要性も高まると思われます。また、以前ご紹介した「DTx」(第341話 アプリで治療する時代へ 期待の医療「DTx」とは?)も活躍するかもしれません。こういったサービスや製品を提供する企業の活躍が期待できると思います。

T:なるほど。そして今糖尿病ではない私たちは、定期的に健康診断を受け、日常で食事と運動に気を使って予防していくことが大切ですね。

神様:もちろんです。厚労省では、1日に8,000歩のウォーキングなど、体を動かす習慣をつけることを推奨しています。ゆっくり時間が取れる休みの日はウォーキングにはもってこいです。

T:よし、今年のゴールデンウィークはしっかり運動することに決めました。糖尿病患者を助ける企業を応援するためにも、まずは私がきちんとした生活習慣を身につけなくては。

(この項終わり。次回5/17掲載予定)

提供:いちよし証券
「兜のささやき」全話はこちら
○当記事は各種の信頼できると考えられる情報をもとに作成しておりますが、その正確性・完全性を保障するものではありません。
また、今後予告なく変更される場合があります。

商号等/いちよし証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第24号
加入協会/日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会