
<マスターズ 初日◇6日◇オーガスタ・ナショナルGC(米ジョージア州)◇7545ヤード・パー72>
比嘉一貴にとって初めての「マスターズ」初日は、2バーディ・3ボギー・1トリプルボギーで「76」。前半をイーブンパーで折り返したが、オーガスタの難所、アーメンコーナーに入って11番パー4でボギー、12番パー3でトリプルボギーを叩いて大きく落とした。ラウンド後、岡本史郎キャディは「12番だけやり直したい」と悔しがった。
念願のマスターズのスタートティも普段通り。「思ったよりも緊張せずに、いつも通りの流れでスタートできた。スコアほど状態は悪くない」と記念すべき1日を振り返る。スタートの1番ティショットは左ラフに行き、残り183ヤードの2打目はグリーン右に外した。25ヤードの3打目は3.5メートルオーバーし、パーパットがわずかに左にそれてボギースタートとなった。
しかし、3番パー4ではセカンドを5.5メートル、6番パー3ではティショットを1メートル弱につけてバーディを奪い、一時はアンダーパーに潜った。460ヤードの9番パー4でこそ、2打目がラフからのショットでグリーンに止めることができずボギーとするも、内容自体は悪いものではなかった。
インに入って、10番パー4は残り209ヤードのセカンドショットをグリーンに乗せてパーで切り抜けたが、520ヤードと長い11番パー4では残り253ヤードのセカンドショットで右手を離すミスでグリーン右手前に外してパーオンならず。3打目のアプローチを4メートルオーバーして、次のパーパットを外しボギーとしてしまう。
そして練習日に池に入れていた12番パー3を迎える。ピン位置はセンターよりも右の奥。「基本的には右からのアゲンスト。そんなに迷わずに打ったけど、昨日と同じ球が出てしまった」とボールは右方向に出てグリーンに届かず、斜面を滑り落ちて手前のレッドペナルティエリアに入ってしまった。「左に行きたくないといういうか警戒してしまった」と体が反応した。
そして後方からドロップして放った3打目は奥のバンカーへ。「ティショットは仕方ないとして、ドロップ地点に行くとフォローになっていて、これか…と思った。やっぱり少し強く入ったぶん、行ってしまった」と気まぐれな風を振り返る。4打目のバンカーショットは2メートルショートし、5打目でも入れることができず、痛恨のトリプルボギーとなった。12番は155ヤードと長くないパー3。それでも名手たちが池に落としてきたのは、上空の風が巻いて読みが難しいからだ。
バーディがほしいアーメンコーナー最後の13番パー5では、3打目のアプローチを2メートルにつけるもバーディパットは惜しくも入らず。「ちょっとアーメンコーナーでやられてしまった。洗礼を受けたなと。意識しすぎたのか、意識してもそれなのか、ちょっとわからないですけど」と肩を落とす。
それでも、12番を除けば初めてのオーガスタでしっかり戦えている。「ショットの状態も悪くないので、僕的にはポジティブに考えている」と前を向く。2021年覇者の松山英樹との練習ラウンドでのアドバイスも「いい情報をたくさんもらえた」とプラスに働いている。
2日目に向けては「18ホールのラウンドがいつもの疲労度と違う。足も疲労度はあるけど、頭に疲れが来ている。無理にこの状態で練習してリズムが変わるくらいだったら、チェックだけしたい」と話す。この日の反省を活かしながら、まずは予選通過を目指して万全の状態で備える。(文・下村耕平)