育児に悩み、人生に惑う親たちに贈る「他人を羨んで苦しいときの心の処方箋」

育児を通して味わう苦難の一つに、親自身が自らと向き合い、“人生の棚卸”を強いられる場面があります。

子どもの成長をなぞるように過去の自分を振り返り、乗り越えたと思っていた人生の課題が育児を通して浮き彫りになることも少なくないでしょう。

ママ友作りを通してよみがえる居場所のなかった学生時代。

家族を優先して「自分の意見さえ言えない私」の根元にある親の顔色ばかり見ていた幼少期。

そんな自分の嫌な部分を思い出し、わが子に投影してみたり、周りと比べてしまったり。思いがけず人生2周目の「自分探し」の旅(親編)がやってくるのです。

そんな子育ての不安や人生の苦悩と向き合う母親たちの姿を描いたのが、人気コミックライターむぴーさんの新刊『ほかの子と、ほかの親と、比べてしまう自分をやめたい』(KADOKAWA)です。

ウーマンエキサイトの人気連載「あさひが丘の人々」を書籍化した本作は、同じ街に暮らす3人の母親が子育てや人生に悩み、立ち止まりながらも自分らしく生きるための一歩を踏み出していく物語。

今回は本書の簡単なあらすじに加え、読者の感想をご紹介! さらに筆者むぴーさんからのスペシャルメッセージをお届けします。

■周りと比べて、足りないものばかりが目につく母親たち

本書の主要な登場人物は、架空のベッドタウン「あさひが丘」に暮らす境遇の異なる3人の母親たち。

ライフスタイルも生き方もまったく違う女性たちが「子どもの発育」「ママ友付き合い」「個として人生」をテーマに、他者との比較に悩みながら、自分なりの答えにたどり着くまでの道のりを描きます。

▼子どもの発達に悩むワーママ「谷口ちさと」2歳の息子を子育て中の「ちさと」は、大手企業に勤務するワーキングマザー。息子ゆうとの発語の遅れに気付き、不安と焦りに苛まれる日々を過ごしています。


そんなちさとの心配をよそに「気にしすぎ」と、真剣に取り合ってくれない夫ゆうすけ。「悩むだけ無駄」と口にする夫に、ちさとは母親としてのプレッシャーの重さを訴えますが…。


終わりの見えない不安の中をさまよい続けるちさと。息子の足りないところばかりに目がつき、「普通の子」であることを求めてしまいます。

しかし、自らの思いがけない過去を知ることでわが子に求める“普通”の定義を見つめ直すことに…。さらに、これまで明らかにされなかった夫の本心にも触れることになるのでした。

▼空っぽな自分に悩む専業主婦「山岸みさ」3人の子どもを育てる専業主婦の「みさ」は、大学卒業後すぐに結婚・出産を経験。家族のために生きる今の人生に不満を感じることなく、日々を過ごしていました。

「元気な子どもたち。頼りになる夫。生活にこれ以上望むことなんてない。」

そう今の暮らしに満足する一方で、専業主婦であることで疎外感を感じる一面も…


そんなみさのもとにある日、中学時代の同級生からランチの誘いが入ります。久しぶりの自分のための外出に心が浮き立つみさ。幸せを噛み締めながら眠りにつきます。しかし…


翌朝を迎えると…子どもが発熱し、予定をキャンセルせざるを得なくなるのでした。


外出はかなわず、ワンオペ育児に追われる一日を終えます。友人の楽しげな投稿に思わずほろりと涙があふれます。母になってからは、子どものため、家族のため、すべてを諦めてきた日々。

“「そして私自身はからっぽだ」”

振り返れば、これまでも親の顔色を見て人生を決めたきたみさ。子どもの頃から、大人になっても、我慢ばかりを繰り返す人生を振り返り、「子育てが終わったら自分に何が残るのだろう」と自らの生き方を模索していくのでした。そんなみさがたどり着いた、思わぬ人生の答えとは?

▼ママ友作りに悩む在宅フリーランスママ「峰ゆかり」1歳半の息子を子育て中の「ゆかり」は、校正や執筆の仕事を手がける在宅フリーランスママ。4年の不妊治療を経て、ようやく息子そうすけを授かります。

しかし、学生時代から人付き合いが苦手だったゆかりは、母親となりママ友作りの壁にぶつかることに…。ママ友の輪に入れない自分、そして内気な自分にそっくりな息子に不安をおぼえるのでした。


思えば、いつも何かが足りないと欠乏感を抱えて生きてきた人生。ライフステージの変化とともに、幸せになれると信じていたけれど…。


「今度は何が足りないの?」

他人を羨み、ないものねだりを繰り返すゆかりは「社交的な姉との比較」「ママ友の2人目妊娠」を通して、ますます追い詰められていくことになるのでした。

■「あの頃悲しんでいた自分が救われた」読者からの共感コメント多数!

3人の母親どれもが「まるで自分のよう」だと、同じ感情を分かち合う読者からコメントが届いています。

・私も子供を通して同じような経験があり、何度も何度も心が折れ、逃げ出したくなったり辛くてたくさん泣いた事を思い出しました。本当に素晴らしい作品、世のママ達の悩みを代弁してくれていると感慨深く読ませていただきました。ひとりじゃないですね!勇気が湧きました!

・我が子が乳幼児の頃に感じていたモヤモヤがたくさんたくさん描かれていて、胸がギュッとなったり共感したり、心を揺らしながら楽しませていただきました。 母親の立場の人が黙っていれば、過ぎて無かったことになるのであろう小さなささくれを「ああ、これ気になるよね、痛いよね」と労ってもらえたような、あの頃悲しんでいた自分が救われたような思いになりました。

・三人のママのエピソードどれも思わず「わかるー」と言ってしまうほどよく描かれていて、最終回では号泣してしまいました。 夜もくるけど必ず朝もくる。それを乗り越えていくのが人生だし子育てなんですね。 いつかは必ず終わってしまう子育てを悩みながらも貴重な時間として生きていきたいと思いました。

・先輩ママさんたちの感想にあった「これはわたしのことだ」はまさにでした。これからもきっと色んなことに悩んで嫉妬して落ち込むと思いますが、あさひが丘の人たちを思い出しながら可愛くてたまらない我が子を愛でたいと思います。

さらに子育てを終えた先輩ママたちからも心温まるコメントが寄せられました!

・昔、子供が小さかった頃を思い出しました。モヤモヤする孤立しがちなお母さんを鋭く描かれていて、胸が痛みました。 子育てはもっと周りに助けを求めて良いんだよ。 そう、伝えてあげたい。 必死に頑張っている、お母さんがエライという自覚を感じて欲しい。 そう、思いました。

・子育てがとっくの昔に終わった私でも“あるある”が多くて、世間の今頑張っている全てのママたちにエールを送りたくなります。現在進行形のうちはなかなか気づけない事も多いけど、特に経験してきた私たち周囲はとにかく暖かく見守って応援する気持ちを持ちたいです。心が優しくなるストーリーばかりです。

■むぴーさんからのスペシャルメッセージ!
『ほかの子と、ほかの親と、比べてしまう自分をやめたい』を上梓したコミックライターのむぴーさん。今回特別にご本人からメッセージをいただきました。

この度、ウーマンエキサイトでの連載がこうして本になり、本当に嬉しいです。

この連載が始まったとき、「ママたちが普段心に秘めているざらりとしたものを描いてみよう。そして、それぞれが一生懸命に生きていく漫画を描こう」と思いました。

ここに登場する3人の人生は全てフィクションではありますが、ところどころに私がいます。

特に、「子供の発語の遅れ」という問題に直面してからのちさとの感情の動きは、私が実際に体験したものが多くあります。

子供を育てていく中で、私は私の弱い部分がたくさん見えるようになりました。

私は良い親になれているだろうか

子供にとって私はどんな親に見えているだろうか

素晴らしい親だったと言われなくてもいいから、せめて子供が大きくなって私を思い出すときに、その私の顔が笑顔だといいな

そんなことを思いながら日々を過ごしています。

もし今、自分に足りないものがあると感じている人がいたら、その人のもとにこの本が届きますように。

的確なアドバイスが載っているわけでも、なにか特別な励ましが載っているわけでもありませんが、そっとその人に寄り添うような本になっていたら嬉しいです。

むぴー

『ほかの子と、ほかの親と、比べてしまう自分をやめたい』
むぴー著(KADOKAWA)1,000円(税抜)

「うちの子、言葉が遅い?」――子どもがいれば、幸せになると思ってた。なのにいつも小さな不安が消えない。うちの子とよその子を、そして私とよそのママを……つい比べてしまう自分を、やめたいのにできない。子育て世代が多く住むベッドタウン「あさひが丘」。ここで暮らし、子育てに向き合い悩む母たちの群像劇。

externallink関連リンク

「今すぐお父さんを呼んでください!」 一生忘れられないあの日のこと【娘と心疾患のお話 Vol.11】「友達になったら楽しそう」 一方的に好意を抱いたサヤの仰天行動!【ウチの子は絶対に悪くないんです Vol.37】子どもの看病中に自分にかけた暗示!効果絶大だったのにその数年後… 【めまぐるしいけど愛おしい、空回り母ちゃんの日々 第320話】手術は生後6ヶ月の頃に ようやく治療の見通しができたと思っていたけれど…【娘と心疾患のお話 Vol.7】ミルクが飲めず入院することに…検査中に娘に異変が!?【娘と心疾患のお話 Vol.8】
externallinkコメント一覧

コメントを残す

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)