“鬼軍曹”マガト氏、バイエルンとノイアーの対立に自論「クラブの責任」

 “鬼軍曹”の異名で知られるドイツ人指揮官フェリックス・マガト氏が、バイエルンとドイツ代表GKマヌエル・ノイアーの衝突に言及した。5日、ドイツメディア『スカイ・ドイツ』がコメントを伝えた。

 ノイアーはFIFAワールドカップカタール2022での早期敗退後、オフ中にスキーで今季絶望の大けがを負ってしまった。急きょ代役を立てる必要が生じたバイエルンは、今冬の移籍市場でボルシアMGからスイス代表GKヤン・ゾマーを獲得した。

 そんななか、バイエルンは先日、「仕事の進め方について意見の相違があった」として、ノイアーと親しい関係にあったトニ・タパロヴィッチ元GKコーチを突如解雇。これに対しノイアーは、クラブの許可なく外部メディアのインタビューに応じ、「僕のキャリアの中で、最も残酷な出来事だった。僕が理解できるような理由はなかった。大きな失望だ」とバイエルンへの不満を露わにしていた。

 タパロヴィッチ元GKコーチはオフをノイアーと共に過ごし、結婚式ではベストマンを務めるなど、ただのコーチと選手を越えた関係にあった。絶対的守護神が最も信頼するコーチはバイエルン内で半ばアンタッチャブルな存在となり、モナコへ期限付き移籍中のアレクサンダー・ニューベルが復帰できなかった理由の一つだとも邪推されている。解任はノイアーからの世代交代を図るための布石なのではないかとの見方もあるが、バイエルンのハサン・サリハミジッチSD(スポーツ・ディレクター)はこの噂を否定している。

 かつてバイエルンで指揮をとり、シャルケ時代にノイアーを指導したこともあるマガト氏は、『スカイ・ドイツ』の番組内でこの問題に言及。タパロヴィッチ元GKコーチを増長させたクラブにも一定の責任があるとし、話し合いの末にノイアーが再びバイエルンで落ち着くことを予想している。

「クラブは自分たち自身もよく見なければならない。もし、ある従業員に実際には就いていない役職も与えたとしたら、それはクラブの責任だ。(前監督ハンジ・)フリックの下で、タパロヴィッチは単なるGKコーチ以上の役割を担っていた。それがこの問題の原点だ。誰かが決定権のある高いポジションにつけて、また降ろすのであれば、当然そのことに問題がある。自分たちで問題を生み出した」

「これまでマヌエル・ノイアーは、FCバイエルンでも模範的なプロフェッショナルであった。私はシャルケで彼を鍛えたが、並外れた身体能力を持っていると言わざるを得ない。誰も傷つけたくはないけれど、今のバイエルン・ミュンヘンのGK(ゾマー)でさえ、彼の足元にも及ばないだろうね。ノイアーは例外的な存在だが、今もそうなのかはなんとも言えない。でも、もし彼が望むなら、ナンバーワンに返り咲く意志があるなら、バイエルンはまだ彼を追い出すことはできないだろう」

 一方、番組内でマガト氏と討論した元ドイツ代表MFディートマー・ハマン氏は、ノイアーの復帰に否定的な見解を示している。

「ノイアーは最高のGKだったが、この2、3年はそうではなかった。そして、5、6カ月のリハビリと肩の負傷歴を経て、37歳の彼がどうやってかつてのように戻るというのだろうか?バイエルンもそれを分かっている。今のところ、私は彼が再びバイエルンでプレーしない方に傾いている。ゾマーに非の打ちどころがなければ、夏にナンバーワン争いが始まる。ノイアーにその準備ができているかどうかはわからない」

 ユリアン・ナーゲルスマン監督との関係悪化も囁かれるなか、3月に37歳となるGKがバイエルンで再び輝く道は残されているのだろうか。

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