平均飛距離310y越え ツアー最強の飛ばし屋・河本力は“捻転差の追加”で飛ばす【男子TOP10 ドライバー連続写真解説】

2022年の男子ツアーを振り返ると、賞金王に輝いた比嘉一貴や比嘉に次ぐ2位の星野陸也ら、20代の選手が活躍する一年だった。ここではツアープロコーチ・石井忍が、国内男子賞金ランキングでトップ10に入った選手たちのスイングを連続写真で分析し来季の活躍を占う。

今回は賞金ランキング9位の河本力のスイングを解説。22年は「Sansan KBCオーガスタゴルフトーナメント」でツアー初優勝、「バンテリン東海クラシック」で2勝目を挙げた。ドライビングディスタンスでは平均飛距離315.74ヤードを記録し、1位を獲得。日本人離れのパワーの持ち主で“怪物ルーキー”と呼ばれている。

そんなツアー最強の飛ばし屋である河本のスイング特長について石井は、「スイングアークが大きく、柔らかくて強いスイングをしています。捻転の追加に注目です」と、石井は話す。

捻転の追加とは、どういうことだろう?

「バックスイングで右腕を長く使い、大きなトップをつくっています。そして切り返しで左の肩甲骨、左骨盤、左ヒザ、つま先を結んだ左サイドを一気に縮ませるようにして、下半身が動いてもクラブが下りてこない状態をつくっています。これが大きな捻転差を生み、飛距離につながるパワーとなっています。両ヒザがアドレス時に近いところに戻っているけど、まだ腕やクラブが下りてきていない。つまり、かなり大きな捻転差が切り返し後にも追加されているということです」

大きくネジっているのに余裕があるから、パワーを最大限に出せている。捻転差の追加をパワーに変えるのは、河本の柔軟性があってのものだとも石井は指摘する。

「柔軟性が高いですね。柔軟性が高すぎるとスイングがどこまでもいってしまうし、パワーが発揮されづらいのですが、河本選手は切り返しで左サイドを縮ませて持ち前の柔軟性を上手にパワーに変えて飛ばしています。切り返しから手元が腰の高さに下りてくるまでが助走。そこから左骨盤をコブシひとつ分ぐらい上げて左ヒザが伸び、一気に左サイドを解放。インパクト直前で右足を蹴って、回転スピードを上げています」

トップからの切り返しのときに捻転差が最大になるのが普通だが、河本の場合は切り返しの後にさらに強い捻転差が追加されている。柔らかくて、強い。これが河本の飛ばしの秘訣なのだ。今年もこの飛ばしで男子ツアーを盛り上げていくに間違いない。(文・高木彩音)

■石井忍(いしい・しのぶ)1974年生まれ、千葉県出身。東京学館浦安高等学校、日本大学のゴルフ部で腕を磨き、98年プロテスト合格。2010年にツアープロコーチとして活動を始め、多くの男女ツアープロを指導。また「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアへの指導にも力を入れている。

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