「VIVANT」平山祐介、別班員・和田の最期にかけた思い 20キロ超減量の役作り・堺雅人との撮影秘話明かす「危うく涙がこぼれそうに」【インタビュー】

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TBSで毎週日曜よる9時から放送中の日曜劇場『VIVANT』第2シーズン。主人公・乃木憂助(堺雅人)らが所属する自衛隊直轄の非公認組織「別班」の一員・和田貢を演じる平山祐介。過酷な運命を辿る和田の結末を前に、平山は「これが我々別班の存在意義」と受け止め、心身ともに極限まで追い込んで撮影に臨んだ。撮影の裏側や、あえて言葉を交わさずとも通じ合う別班メンバーとの絆、そして乃木役・堺との対峙で胸に込み上げた感情とは。和田としての見せ場に全てを注ぎ込んだ日々を聞いた。

◆堺雅人主演「VIVANT」

2023年7月から9月に放送された日曜劇場「VIVANT」。主人公の商社マン・乃木憂助(堺)が、国内外で民間人に紛れて諜報活動を行う自衛隊直轄の非公認組織「別班」の一員として、生き別れた実の父親であるノゴーン・ベキ(役所広司)が率いるテロ組織「テント」の真相に迫っていく物語である。復讐を果たそうとする実の父・ベキを乃木が射殺し、すべては終わったかに見えた。しかしその裏で、新たな冒険はすでに動き出していた。

◆「これが我々、別班の存在意義」和田の見せ場に集中した覚悟

――台本で和田の最期を知った時、率直にどのような感想を持ちましたか?

台本全体を通してみると、第1シーズンで(乃木に)撃たれて病院へ搬送され、今度は拉致されてという流れだったので、「あ、またこんな感じか」と正直思いました(笑)。「別班員らしい活躍ができる場はないのかな」「いよいよ見せ場があるんじゃないか」という期待も少しありましたから。でも、これが『VIVANT』における我々、別班の存在意義なんだと受け止めました。

それに、1人だけ最期を迎えるところまで台本にしっかりと描かれていました。和田としての見せ場は「ここだな」と感じたので、それをどう表現できるかだけに集中して撮影現場にいようと決めました。

――和田を演じるにあたり、どのように役作りに向き合いましたか?

直前の仕事で体をかなり大きくしていて、ほぼ100キロあったんです。第1シーズンの和田が84~85キロ程度でしたし、今回はろくに食事も取れない設定なので、目標を75~76キロ前後に設定して体を作っていきました。なかなかハードでしたが、「よし、やるか」という気持ちでした。

それは単なる役作りというより、“別班作り”のような感覚でした。自分は不器用なタイプなので、実際に苦しい状況に身を置いたほうが、現場でもいい仕事ができると思ったんです。そこからは毎日、体と気持ちを作る日々でした。

――そうして準備を重ねたことで、撮影現場にも役への思いを持ち込めたのですね。

もちろん他の仕事への影響も考えましたが、その年に関しては「『VIVANT』のために」という思いが何より強かったんです。他の仕事にご迷惑をかけないようにしつつも、頭の中には常に和田がいました。「ここで一発やってやろう」という強い意気込みがありました。

――放送後の反響も大きかったのではないでしょうか。

完全に予想外でした。こんなに大きな反響をいただけるとは思っていなかったので、改めて『VIVANT』という作品の注目度の高さを思い知らされましたし、ものすごく驚きました。

◆平山祐介、言葉は交わさずとも“別班になれる”信頼関係

――別班員同士は言葉で細かく相談せずとも、共通の“別班らしさ”という軸を持っていたそうですね。

「別班ってこうだよね」と話し合ってすり合わせるようなことはありませんでしたね。それこそ、第1シーズンでモンゴルへ行った時も、ほぼ毎日のように食事へ行って顔を合わせていましたが、別班の在り方について語り合うことは意外となかったんです。もちろんシーンごとの段取りなどは話しますけど、在り方の“答え合わせ”をする必要がないくらい、それぞれが徹底的に準備してきているのが伝わっていましたから。言葉を交わさずとも、一緒にいれば自然と別班のチームになれる。すごくやりやすかったですし、周りのメンバーに助けてもらいました。

――どのように役の状態を保っていたのでしょうか?

普段ならカットがかかると一度外へ出ることが多いのですが、お昼休憩以外はほぼ1日中、床に寝転がっていました。今回は他のメンバーとも会話をせず、「隣に仲間がいるな」と気配を感じる程度にしていました。床に溶け込んでしまうくらいの気持ちで、セットに居続けたんです。

◆堺雅人の渾身のセリフにあふれそうになった涙

――乃木と息絶えた和田が対面するシーンには強く引き込まれました。堺さんと対峙しての印象を教えてください。

息を止めて体も一切動かしてはいけない。「用意、スタート」がかかってからは、少しの“動”の気配も出さず、完全に息絶えている静寂を作っていました。そんな中、乃木さんが入ってくる足音が聞こえてくるんです。音を聞いているだけで、乃木さんが和田を見つけて、何かしらの感情を抱きながら駆け寄ってくるのが伝わってくるんです。歩いてくる空気感そのものに、乃木さんの感情がものすごく乗っているんです。

目の前で止まり、「よく耐えたな、立派だ」と言われた時は、思わず素の自分に戻りそうになるくらい胸が熱くなりました。さらに近寄って「日本に帰るぞ」と言われた瞬間は、危うく涙がこぼれそうになって…それを我慢するのが本当にしんどかったです。

死んでいる和田としては無心でいられるはずですし、もちろん息は苦しいんだけど、不思議と平気なんですね。でも役者としての自分は「早くカットがかかってくれないかな」と思いつつ、「この空気のまま、ずっと乃木さんに抱かれていたい」とも思っている。真逆の感情がせめぎ合っていました。

カットがかかった後は、苦しさというより、乃木さんの思いが一気に流れ込んできた感覚で少しフワフワしていました。しかも堺さんは、撮影が終わると自ら縄を外すのを手伝ってくださるんです。同じ作品を背負う役者仲間としての堺さんへの信頼や感謝と、同じ別班員を演じる乃木と和田の関係性が重なって、一緒に仕事をさせてもらえて良かったなと感じました。気持ちが昇華していくというか、そんな感覚がありましたね。

――第20話の放送を見た時には、撮影時の感情がよみがえったそうですね。

その後の第20話のオンエアを見た際も、乃木さんの表情を見て当時の感情がぶわっとよみがえってきて。さらにその放送直後に、TBSラジオの『VIVANT 悪役会議室』への出演が決まっていたので、和田の気持ちをもう一度手繰り寄せていたんです。「死んだ後に乃木さんが来てくれて、みんなも助かったんだ」と思ったら、ちょっと恥ずかしいくらい、えづくほど泣いてしまいました。でもその感情があったからこそ、『悪役会議室』でも、死んだ後の和田としてしっかり気持ちを乗せて臨むことができました。本当にこのチームでやらせてもらえたからこそだと感謝しています。

――第21話、第22話の展開はいかがでしたか?

台本を読んでいるので結末は知っているはずなのに、見ていると「ひょっとして…!」と思わせてくれるんですよね。「こうなる」と分かっていてもハラハラできるのが本当にすごい。ここから日本へ戻り、ジャミーン(本間さえ)や薫さん(乃木の恋人で医師の柚木薫/二階堂ふみ)との物語がどう展開していくのか、僕自身も純粋に楽しみにしています。

◆作り手と視聴者が生み出す“巨大な渦”こそが「VIVANT」

――平山さんが感じる『VIVANT』の魅力とは何でしょうか?

ドラマや映画は、僕たち制作側が作ったものを視聴者の方に届けるのが基本ですが、『VIVANT』は放送後の1週間に、皆さんのさまざまな考察が飛び交いますよね。「こんなふうに考えるのか」「こんなアイデアもあるんだ」と、見ていて本当に感心させられます。

和田の死に対しても、「死んでほしくない」「こういう伏線があったから、実は生きているんじゃないか」という声を目にすると、こちらが驚いて「あれ、和田ってまだ生きている?」と思ってしまうくらい(笑)。作り手の思いと視聴者の皆さんの熱量が合わさって、凄まじいスピードで巨大なうねりになっていく。それこそが『VIVANT』の醍醐味だと感じます。自分はその渦を回す一翼のはずなのに、一緒にブンブン振り回されている感覚がありますね。

お互いに熱量を共有してどんどん楽しさが膨らんでいく。「テレビドラマって、まだまだこれだけやれるんだ」という手応えを感じましたし、この作品に参加できて本当に良かったです。

――堺さん演じる乃木の存在に引っ張られた部分もありましたか?

出番の多さや見せ場の有無に関わらず、同じ現場に立っている以上は絶対に負けたくないという思いがありますし、それが良い方向に作用したのだと思います。全員が直前まで妥協なく準備を重ねて撮影現場に入っていますし、少しでも気の緩みがあれば立てないような緊張感があります。仲間としての心強さもありつつ、役者としては真っ向からぶつかり合う。そういった高い緊張感があるからこそ、全員が引き上げてもらえたのだと感じています。残り2話、僕自身も一視聴者として楽しみにしています。ぜひ皆さんも、放送を見ながら物語の展開に思いっきり振り回されて楽しんでいただきたいです。

和田の最期に懸けた覚悟から、共演者との信頼関係、そして『VIVANT』という作品が生み出す熱狂まで、たっぷりと語ってくれた平山。作り手も視聴者も一緒になって物語に振り回される醍醐味を、最後まで楽しんでほしい。