第518話 増える豪雨災害 対策のキーワードは「内水氾濫」

”滝のように降る雨”増加傾向に

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内ホテルのラウンジで投資談義を行っています。


神様:近年、気候変動の影響で豪雨災害が激甚化しています。今年も台風による被害が各地で発生したほか、千葉県、福井県、石川県、富山県などで豪雨災害に見舞われました。

T:年々災害が増え、被害も大きくなっているように思えます。天気予報でも「1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が降るおそれ」などの表現をよく目にするようになりました。あるいは「レベル5氾濫特別警報」や「レベル5大雨特別警報」などの発表も目立って増えていますよね。

神様:「1時間に50ミリの雨」とは、傘が全く役に立たないほど、滝のように降る大雨のことを言います。よく「バケツをひっくり返したような雨」という表現がありますが、それよりももっと激しく降る雨です。実際、1976年から2025年までの1時間に50ミリ以上の雨の回数を見ると、データ上でもそういった激しい雨が増加傾向であることがわかります。2000年前後を境に、回数が年平均200回から300回へと増加しています。レベル5というのは、氾濫特別警報は河川の氾濫の起こるおそれが著しく大きくなることが予想される場合に、大雨特別警報は浸水害の起こるおそれが著しく大きい降雨量に相当する大雨が予想される場合に発表されます。非常に切迫した状況ですので、安全な場所に避難するなど命を守る行動を取ることが求められます。

T:グラフを見ると、滝のような雨、道路が浸水し河川が氾濫するような豪雨が年々着実に増えているのがよくわかります。

神様:今度は国土交通省のデータによる「水害の被害額の推移」を見てみましょう。毎年のように数千億円規模の被害が発生していることがわかります。例えば、昨年の水害被害額(暫定値)は約7,700億円で、2015年から2024年の過去10カ年でみると3番目の被害額となりました。おととしの水害被害額(確報値)は全国で約7,100億円。どちらも公表当時に過去3番目の被害額でした。

T:過去1番目、2番目はいつだったのでしょうか?

神様:2019年の東日本台風では、過去最大となる2兆円を超える被害額となりました。2018年の西日本豪雨では1兆円を超える被害が出ており、これが2番目になります。ある日突然発生する大規模な水害によって、一般資産や公共土木施設などが一瞬にして破壊されるリスクが高まっています。これまでの想定を大幅に超える被害額の増大に対して、実効性のある新たな備えや抜本的な対策が急務です。

T:日頃の備えだけでは足りず、町全体での対応が求められますね。

神様:おっしゃる通りです。もちろん、日頃から避難経路の確認やハザードマップを見ておくことが大事です。しかし、一方でこれまでの想定を大幅に超える被害額の増大に対して、新たな手を打たなければなりません。

T:どんな対策が必要とされているのでしょうか?

神様:キーワードは「内水氾濫」です。内水氾濫とは、大雨等による地表水の増加に排水が追いつかず、用水路や下水溝などがあふれて氾濫したり、河川の増水や高潮によって排水が阻まれたりして、住宅や田畑が水につかる災害のことを指します。それに対して、外水氾濫は河川や用水路の水位が上がり、川の外の市街地や農地に水があふれ出すことを指します。近年は内水氾濫が頻発しています。

T:ということは、内水氾濫対策が重要なのですね。

神様:内水氾濫を防ぐためには、下水道などの排水設備の整備や新たな排水施設の設置などのインフラ整備が重要です。雨が街の排水能力を上回ってしまっているので、排水能力を高めることが有効です。

T:そうすると都市全体の排水対策が重要になってきますね。

神様:今、日本全国で上下水道などの整備は喫緊の課題です。ただ老朽化を防ぐだけでなく、内水氾濫を防ぐための雨水貯留浸透施設の整備などもあわせて行い、水害に強いまちづくりをしていく必要があるでしょう。防災機能のあるインフラ投資が重要です。

T:上下水道管の老朽化への対応も急務です。このような内水氾濫の脅威に対し、インフラ整備を担う関連企業が果たすべき役割と社会的責任は、今後さらに増していくと考えられますね。

(この項終わり。次回11/4掲載予定)

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