住居費負担、物価高でさらに重く=差し押さえ急増、遠のく「夢」―中間選挙、民主に追い風・米ジョージア州

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 物価高騰が続く中、家計のひずみが住まいにも及んでいる。11月に控える米中間選挙の上院選で、与野党がしのぎを削る接戦州の南部ジョージア州では、住宅の差し押さえ件数が急増。最大の焦点となる「アフォーダビリティー(価格の手頃さ)」への不満は、選挙に影を落としている。
 ◇差し押さえ5割増
 「ラストコール。1155番が落札」
 ジョージア州都アトランタ中心地から車で約20分。同州ディケーターの郡裁判所前では4日、青空の下で、売りに出された差し押さえ住宅の競売が行われていた。
 約20人の買い手らは小脇に抱えた物件リストとスマートフォンの情報を見比べ、時折メモを取る。狙った物件がかけられれば、自身の番号を書いた紙切れを掲げ、競り落としていく。落札額をその場で小切手に書き込むところまで、淡々と手続きが進んでいた。
 競売の参加者は主に地元の不動産業者だ。この日参加していた不動産投資会社のウィルソン・フレミンスタージュニアさんは「参加者の多くは顔なじみ。安く買い取った住宅を改修し、再び市場で売るんだ」と語った。
 不動産データ分析会社ATTOMによると、今年1~6月に差し押さえ関連の申し立てや通知があった全米の不動産は計22万7548件に上る。ジョージア州では前年同期から52%増加し、500件以上の差し押さえがあった州の中では、3番目の増加率だった。
 競売を運営するオークション・ドット・コムのデボラ・ティンスリーさんは件数増について、物価高による生活費圧迫が住宅ローン滞納につながっているためとみる。中低所得層は「食費を払うか、住宅ローンを払うかの選択を迫られ、本当に苦しい状況にある」と話す。
 ◇募る不満
 中低所得層が多いアトランタ市東部オールドフォースワード。比較的新しい一軒家に張り出された「FOR SALE(売り家)」の看板が目に付いた。近くの集合住宅で暮らすジャスティン・オジェンさんは「物価が以前よりずっと高くなって、嫌になる」とため息をつく。「生活がかなり厳しく、これまでとは違う決断を迫られている」と、日々の出費を切り詰めざるを得ない状況を明かした。
 不動産情報サイトのリアルター・ドット・コムによる最新の調査では、月平均の住宅ローン支払額は1~3月期に2023ドル(約32万円)と、過去最高を更新した。このところ頻発する災害に加え、住宅価格と修繕費の上昇を背景に、住宅保険料の負担も膨らんでいる。
 調査会社イプソスが7月に実施した世論調査によると、自分や家族に生活水準を向上させる機会が乏しいとの回答の割合は59%に上った。「かつて当たり前だった、手ごろな家を買って家庭を築くという夢が今や手の届かないものになってしまった」。オジェンさんはつぶやいた。
 ◇応酬
 長らく共和党優位が続いたジョージア州では、2021年の上院選で民主党が補選を含め全2議席を奪取した。上院の多数派奪還を目指す民主党にとって、今回改選となるジョン・オソフ上院議員の議席は絶対に落とせない。共和党予備選を制したマイク・コリンズ下院議員がオソフ氏に挑む構図だ。
 オソフ氏は7月半ばの集会で、「労働者や中間層の利益に反するゆがんだ政策に対抗する」と訴えた。住居費対策として、州外企業による住宅買い占め規制を求める法案の議会通過を目指す。
 一方、コリンズ氏はインフレはバイデン前政権のせいだとするトランプ大統領に同調。「オソフ氏はあらゆる場面で生活費を押し上げ、自由を奪う行動を取ってきた」と批判を強めている。7月下旬、ジョージア州に入ったトランプ氏は「インフレ率は大幅に下がった」と言い張った。
 ただ、米イラン紛争による原油高の影響もあって、高止まりする生活費への不満は根強く、民主党に追い風が吹く。FOXニュースの7月の世論調査ではオソフ氏が13ポイントリードした。オジェンさんは「トランプ氏が共和党を先導している限り、彼らに投票することはない」と冷ややかだ。(アトランタ=米ジョージア州=時事)。 
〔写真説明〕「FOR SALE(売り家)」の看板がかけられ、売りに出された住宅=4日、米ジョージア州アトランタ
〔写真説明〕米ジョージア州ディケーターで行われた住宅の競売=4日
〔写真説明〕米南部ジョージア州ディケーターで行われた住宅競売にかけられた物件。ホワイトボードには売約済み(Sold)の文字が並ぶ=4日