脇元華のツアー初Vで終えた伊藤園レディス 規格外の数を誇る“裏方”の力も光った1週間【現地記者コラム】

28歳の脇元華がツアー初優勝を飾った国内女子ツアー「伊藤園レディス」では華やかなプレーの陰で、大会運営を支える黄色いウェアのボランティアたちの姿も印象的だった。選手がスムーズにプレーできる環境を整え、裏方として大会を支えている。
大会は1985年に始まり、95年からはボランティア活動がスタートした。2003年には『伊藤園グリーンクラブ』として正式に組織化されている。伊藤園グリーンクラブでは毎年延べ1000人ほどが参加し、これまでに2万4000人を超える人々が大会運営に携わってきた。これは他の大会ではない、規格外の規模になっている。

ボランティア歴22年の藤井玲子さんは「最初は150人ぐらい、5回目でも180人くらいでした」と、かつてを懐かしむ。現在では安定的にのべ1000人を数える方々が参加しているのだという。

参加者は開催コースのグレートアイランド倶楽部がある千葉だけに限らず、秋田や石川、香川、愛知など全国各地から集まる。「参加して楽しかったという方が口コミで広げてくれています。長く参加している方もいて、第1回目から続けている方もいます」と話す。「昔はね…」と生き字引のように“懐かしい話”を聞かせてくれるボランティアもいた。

『伊藤園グリーンクラブ』が他の大会と大きく異なる点は、ボランティアの中からリーダー・サブリーダーを選定し、リーダー・サブリーダーが中心となって業務を運営している点だ。そのメリットについて「リーダーが参加者の特性を把握して割り振ることで、業務がスムーズに回ります。サブリーダーも業務内容や人数の調整を行い、反省会で改善策を共有します」。

運営側から指示を受けるよりも、同じボランティアの中のリーダー・サブリーダーが中心となって参加者とともに業務改善を考えることで実務に沿った改善に繋がる。年間3~4回はリーダー会議を実施。ゼネラルプロデューサーの戸張捷氏も参加し、業務割り振りや運営調整が行われる。

ボランティアは基本的に4つのグループに分かれ、競技運営(スコアラー、キャリングボード)、競技サポート(フォアキャディ、移動・固定ギャラリー整理、練習場サポート、ドライビングディスタンス計測、カート引き、)、情報管理(スタート・アテスト補佐、スコアボード)、大会サポート(ギャラリー受付、クリーンスタッフ、中学生ボランティア)に加え、本戦前の月曜日~木曜日までは、ローピングや主催者推薦選考会の運営等、多岐にわたる業務を担当する。

ここには地元長南町の中学生も07年から参加。近年では土日で60名程度の生徒が参加している。「ゴルフ場に入るのも初めての体験で、加えてテレビで観るプロゴルファーを間近で見られることは貴重な経験です」。また、一般の参加者の平均年齢は60代後半ではあるが、年齢を感じさせないゴルフが大好きな元気な方々が「自発的」に、円滑な大会運営のため携わっている。

さらに、こんな形でも“貢献”している。ボランティアが着ている黄色のジャンパーや、キャップ、ベストは購入制で、売上は全額チャリティに寄付される。「チャリティ先は長南町をはじめとした千葉県内の自治体や社会福祉法人等に寄付や物品を提供しています」。大会開催週の1週間の活動を無償でしているだけでなく、チャリティにも力を添えているのだ。

藤井さんは参加者の多くが活動を長く続けている理由について、「上から指示されるのではなく、皆が自発的に楽しんで参加することが、長く続く理由です。朝から明るく元気に活動している姿を見るのが何よりうれしいです」と話し、笑顔を見せる。さらに活動後のケアも徹底。一人ずつアンケートを実施し「満足度は90%以上です」ということも教えてくれた。

華やかな大会は、献身的な伊藤園グリーンクラブのボランティアの活動があって成り立っている。選手と観客をつなぐ“裏方の力”は、今後も大会を支え続けるだろう。(文・高木彩音)

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