佐久間朱莉が涙の女王戴冠「想像もできなかった」 じゃんけんトレ、算数トレなど地道な練習でつかんだ大きな勲章

<大王製紙エリエールレディス 2日目◇21日◇エリエールゴルフクラブ松山(愛媛県)◇6595ヤード・パー71>

2021年7月のプロデビューから5年目、ツアー152試合目で佐久間朱莉が頂点に上り詰めた。史上6番目に若い22歳345日での戴冠。逆転の可能性を残していた神谷そらの予選落ちが決まった瞬間、今季のメルセデス・ランキング(MR)1位が確定した。他を寄せつけない圧倒的な力でつかみ取ったビッグタイトル。新女王は涙が止まらなかった。
「ギャラリーさんに『年間女王、おめでとう』と声を掛けられて、初めて知りました。『あっ、決まったんだ』って。まさか自分が取れるとは思っていなかった。本当にうれしいです」

トータル10アンダーに伸ばし、首位をキープしてホールアウトした。「優勝争いに集中していた」という第2ラウンド。18番グリーンからクラブハウスに戻るときに祝福の声が耳に届いた。

初日からの首位を守る完全Vで2勝目を挙げた5月の「ブリヂストンレディス」で初めてMR1位に立った。そこから、ただの一度もその座を譲ることはなかったが、一時は神谷に約300pt差に迫られた時期もあった。トップに立つ者にしか分からない重圧。「すごく長く感じました」。孤独な戦いからようやく解放された若き女王に満開の笑顔が咲いた。

「去年はなかなか勝てずに苦しかった。そこから、ここまで来れるなんて想像できなかった。小さなころは『賞金女王になりたい』って書いたりしていたけど、ホントになれるなんて…。たくさんの方に感謝したいと思います」

今季はここまで1試合も休むことなく皆勤を続けている。全幅の信頼を寄せる藤山和也トレーナーと二人三脚で取り組んだ体づくり。足の指も使うグー・チョキ・パーの“じゃんけんトレ”に、ゴルフIQを高める“算数トレ”。「最初は何をやっているのか分からなかった」というユニークなメニューを地道にコツコツとこなし、疲れない体、けがをしない体を手に入れ、そこに肉付けするように技術を高めていった。

昨季はMR8位に躍進する飛躍の1年だった。だが、優勝には届かない。2位は、最終日を首位で出た「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」など3度ある。悔し涙はたくさん流してきた。それも、すべてはこの日のため。4月の「KKT杯バンテリンレディス」で待望の初優勝。終盤になって日に日に感じるようになった女王争いも最後は自分との戦いだった。10月の「マスターズGCレディース」で2位に11打差をつける2度目の完全V。ライバルたちの気力を根こそぎもぎ取る優勝で「少し余裕が持てるようになった」と、あとはゴールに飛び込むだけだった。

「去年までは人と比べていた。でも、今年は自分のことに集中できた。人は人、私は私という気持ちで戦えるようになった。メンタルの成長もすごく大きいと思います」

今季は開幕前からゴルフ漬けだった。生来の負けず嫌い。勝者を笑顔で祝福する敗者にはもうなりたくなかった。「ずっとゴルフのことを考えていた。オフもトレーニングばっかり」。誰よりも汗を流してきた自負があるから、人と比べるのはもうやめた。

今季も残り2試合。まずは首位で迎える週末に5勝目を狙う。「勝負には絶対に負けたくないんです」。穏やかな性格。物腰の柔らかいおっとりした口調に騙されてはいけない。内に秘めたる思いは誰よりも熱い。

「毎年勝てる強いプレーヤーになりたい。まず1つ勝つ、メジャーも勝ちたい」

松山決戦はあと2日ある。来週は最終戦の国内メジャー「JLPGAツアー選手権リコーカップ」も控える。最後まで圧倒的な強さを見せつけ、絶対女王への足場を固めるシーズンの総仕上げに入る。(文・臼杵孝志)

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