<大王製紙エリエールレディス 初日◇20日◇エリエールゴルフクラブ松山(愛媛県)◇6595ヤード・パー71>
前週の「伊藤園レディス」で涙のツアー初優勝を果たしたプロ8年目の脇元華の勢いが止まらない。6バーディを奪い、今季10度目のボギーなしラウンドで年間女王を狙う佐久間朱莉と並んで首位スタート。2週連続Vも狙える絶好の滑り出しに足取りも軽かった。
「流れがいいですね。先週と違うのは、切羽詰まっていないこと。余裕があるわけじゃないけど、気持ちよくゴルフができているなと感じます」
インから出て、2メートルを沈めた11番で最初のバーディがきた。15番は6メートル、1番と8番は8メートルの長いパットも決まる。ティショットは「先週と比べるとかなり曲がった」と反省したが、そこを補って余りあるパッティングでカバーし、スコアを順調に伸ばしていった。
松山は脇元にとっては“パワースポット”ともいえる場所だ。宮崎日大高1年時の2013年、初めて出場したレギュラーツアーが、この「大王製紙エリエールレディス」だった。初日は首位と2打差の6位。最終的には41位に終わったが、ツアーデビュー戦で堂々と予選を通過した。キャディは父・信幸さんが務め、極寒の中、短パン半袖で奮闘。「目立って、娘が注目されるように」という親心だった。
「よく覚えています。ツアーデビュー戦のここと、プロデビュー戦のNEC軽井沢のことは何年経っても忘れない。このコースは私にとって特別な場所なんです。優勝した翌週に帰って来ることができて、すごくうれしいです」
不思議な力を与えてくれる思い出のコースで2週連続Vに挑戦する。初優勝からの連勝を達成できれば、昨年の「KKT杯バンテリンレディス」→「フジサンケイレディスクラシック」の竹田麗央以来、ツアー史上5人目。ピンチらしいピンチもなく、2打目をバンカーに入れた14番パー4も「なんかうまく打てて、ピンそば1メートルについた」と難なくパーをセーブした28歳には、あっさりと快挙をやってのけそうな雰囲気を漂わせている。
「一つ一つ集中してやり切っていたら、またいい位置で戦えると思う。普通にやっていきたい。頑張ります」
シード落ちの危機に直面していたのも今は昔。肩の力を抜き、自信にあふれるゴルフで今週も頂点を狙っていく。(文・臼杵孝志)
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