
「スタンレーレディスホンダ」は、河本結が優勝。今季2勝目、ツアー通算4勝目を飾った。今季もパットの調子が良く、短縮競技となった最終日も9ホールで4つのバーディを奪った河本。好調が続くストロークについて、プロコーチの南秀樹に解説してもらった。
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9ホールに短縮された最終日に、4バーディを奪う圧巻のゴルフ。持ち球であるフェードが安定し、積極的にピンを攻めていることが伺えます。併せて、パットの調子が良いのも強さのポイント。パーオンホールの平均パットは2位(1.7566)、1ラウンドあたりの平均パットも3位(28.6369)とどちらも高いレベル。平均バーディ数4位やパーセーブ率3位につながっていると思います。
毎週異なるコースで開催されるトーナメントで、常に安定したストロークをするのは並大抵のことではありません。河本さんは、クロスハンドで構え、姿勢が良く視線の使い方も綺麗です。距離やラインにかかわらず、ストロークのスピードが一定でテンポが良く、淡々と打っています。
以前は、強気に“パチーン”と打ってオーバーしてくるイメージがありましたが、今はフェースにボールを乗せて、ジャストタッチ。上品なコロがりで、どこからでもカップに寄せてくる上手さが感じられます。持ち球がフェードでピンの右に付くことも多く、フック、スライスどちらも迷いなく、自信を持って打っているように見えます。
「ショートパットが苦手」「右手が悪さをしてストロークが安定しない」と悩んでいるなら、クロスハンドを試してみてください。左腕主体のストロークとなって、パンチが入りにくく、アドレスで肩を地面と平行に構えやすいので引っかけのミスも軽減できるはずです。
アドレスでは、左手甲をフェースと同じ向きにセット。左手甲から左ヒジまでが大きな面で、一体となって動かすイメージを持ちましょう。左ヒジが曲がると動きがルーズになるので、ヒジは軽く伸ばし、右手は添える程度に。左肩からシャフトまでが一直線になるようにして肩を動かしストロークします。左手が下になる分、ショートパットではやや直線的にヘッドを動かすとスムーズになります。
動きがシンプルなクロスハンドは、フェースバランスやゼロトルクなど、余計な動きをしないパターとの相性がいい。また手首をあまり使いたくないので太めのグリップともマッチします。ただし、条件を整えても気持ちが出やすいのがパッティングです。練習すればするほど、河本さんのように平常心で毎回同じことをする凄さ、難しさを感じるのではないでしょうか。
■河本結
かわもと・ゆい/ 1998年生まれ、愛媛県出身。2023年にシードを手放すも、翌24年は5年ぶりとなるツアー勝利を含むトップ10に16回入り、メルセデス・ランキング7位と完全復活を果たした。今季も好調を維持し、「スタンレーレディスホンダ」で通算4勝目を挙げた。RICOH所属。
■解説:南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高校卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。(株)ボディスプラウト所属。
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