パッティングを劇的回復させた“2g” 申ジエがメジャー全制覇&永久シード入りへ急浮上

<日本女子オープン 3日目◇4日◇チェリーヒルズゴルフクラブ(兵庫県)◇6616ヤード・パー72>

今大会を制覇すれば生涯グランドスラム、そして永久シード資格が得られる通算30勝をダブルで達成する申ジエ(韓国)が、8バーディでボギーなしのラッシュで急浮上した。2日目の49位タイから、首位と5打差のトータル10アンダー・8位タイまで接近。「1年間、ずっと照準を合わせてきた」という日本一の称号奪取に、望みをつないだ。
「ショットが良かった」と、8つのバーディのうち7番、9番、12番、14番と半数が1メートル以内につけたもの。それに加え6メートルを沈めた13番、4メートルを決めた16番と、「きのうまではなかなか決まらなかった」というパットも冴えた。5番は9メートルをねじ込んで拾ったガッツパー。予選は「悔しくて、残念だった」というグリーン上も、きょうは好スコアの要因になった。

あと1つバーディが来れば、パー72の1ラウンド大会ベストスコア更新となった最終18番は、ヒヤリとする一打も。残り198ヤードから5番ウッドでグリーンを狙ったショットが、「距離もちょうどいい。いい当たりだったんですけど、ボールに泥や砂がついていて、その分、(グリーンに)届かなかった」と池の方向へと落ちていった。

ただ、これは辛くも池のフチに止まっていたため、そこから3打目を打てる、まさに“九死に一生”。この攻めの一手は「前を向きながら行きたかったので狙った。結果はパーだったけど、やりたいことはやれた」という、勝利への執念を込めた選択でもあった。

“パターは水もの”とも言うが、かつて世界1位にもなった実力者の状態が上向いたのには、しっかりと根拠がある。ジエは、グリップエンドに『ツアーロックゴルフ』のおもりを入れているのだが、これを今朝、10グラムから2グラム増量して、ラウンドに臨んでいた。

ごくわずかな差。そう感じるが、ジエ曰く「選手は敏感だし、2グラムはすごく大きい。私は0.5グラムの違いも分かる。こうすることで、ヘッドよりも肩が動きやすくなる。バランスをとりました」。まさに“職人の領域”だ。様々な重量のおもりを常に持ち歩き、その日の体調やグリーンコンディションによって調整している。

3週前にはかわいがっている金澤志奈が、「ソニー 日本女子プロ選手権」を制覇。その“妹分”とメジャー優勝を一緒に争うのを夢見ている。そして、こんな“野望”も。「私がサロンパス(今年5月のワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ)を獲って、志奈が選手権で勝った。残り2つのメジャーも、2人で勝ちたいですね」と言って、ニッコリと笑う。“チーム・ジエ”による、メジャータイトル独占を目論んでいる。

午前7時55分から競技を開始したジエがホールアウトしたタイミングは、ようやく上位勢がコースに出る時間だったため、自分の順位を予想するのは困難な状況だった。ただ、それよりも「ひさしぶりに、いい集中力で回れた。最近はビッグスコアが出ていなかったので、それが気になっていた」と、自分のプレーへの納得感の方が大きかった。標的にしてきた大会とあって、簡単に沈むわけにはいかない。

『あと1打で大会のベストスコアでしたよ』と話を振られると、「あした、達成します!」と言って、不敵な笑み。この日のベストスコアタイになった8アンダーは前フリ。唯一、手にしていない日本のメジャータイトルを獲って、永久シード入り…という筋書きの筆を、最後まで止めることはない。(文・間宮輝憲)

externallink関連リンク

日本女子オープン 3日目の結果 輝かしい… 申ジエの成績&プロフィール 申ジエが“妹分”の初優勝に涙と感謝「初めて泣いちゃいました」 日本女子オープンで2人が失格 黄杭での処置を誤り…本人からの連絡で判明 日本勢がV争い 米女子ツアー3日目の結果
externallinkコメント一覧

コメントを残す

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)