13歳で決断した単身海外武者修行 “逆輸入アマ”横山翔亜が母国で描く夢「おうちが2つある感じ」

<日本女子オープン 事前情報◇1日◇チェリーヒルズゴルフクラブ(兵庫県)◇6616ヤード・パー72>

今月30日に22歳になるアマチュアの横山翔亜(よこやま・とあ)は、今年5月まで8年間にわたり海外で生活をしてきた。現在、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)のプロテスト合格を目指しており、今回初めて「日本女子オープン」の芝を踏む。
「楽しいコースでした。ドライバーもノビノビ振れるホールもあるし、いろいろな要素が詰まっているコースで楽しかったです」。ニコニコと話す明るい人柄が印象的だ。“ナショナルオープン”の重々しい雰囲気も、「あまりない…。1つの試合という感じです」と笑い飛ばす。

東京都出身の横山だが、13歳でオーストラリアに単身移住。そこで1年間を過ごすと、14歳で単身米国に渡り、フロリダ州にあるスポーツ専門校『IMGアカデミー』に入校した。大学はネバダ州にあるネバダ大ラスベガス校に推薦で入学。カレッジゴルフに熱中しながら、文武両道生活を送ってきた。

「もともとインターナショナルスクールに通っていて、英語は話せました。東京出身で、両親も仕事をしていますし、日本でゴルフに集中するのは難しいと思いました。いろいろと考えて、(海外留学を)お父さんにお願いしました」

最初は日本との時差1時間のオーストラリアで「海外生活に慣れるまで」過ごし、「いずれ行きたいと強く思っていた」という米国に渡った。まだ中学生に上がったばかりの年齢で、人生設計をしっかりと立て決断したことがうかがえる。

米女子下部エプソン・ツアーの出場経験もある。昨年は米女子ツアーの予選会にも参加したが、今年は日本のプロテスト合格に照準を絞っている。「海外に住んでいた時も、常に日本は好きだったし、住みやすい。小さい時に(海外に)出たので、仕事は家族の近くでしたいと思って、プロテスト合格を高校生の時から目標にしてきました。8年ぶりに帰って、違う環境でやってみようと」。

プロテストは第1次、第2次を通過。あとは11月4~7日にJFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部 (岡山県)で行われる最終テストを残すのみだが、「順調に調整できています」と表情も明るい。

繰り上がりながら、予選会を経てたどり着いたこの舞台で、さらに自信を深めたいところ。長所を聞くと、「全部が“中の上”」という答えが返ってきた。「何かがすごいわけじゃないけど、すべてアベレージでいけるよう集中してやってきました。苦手を減らして、長所は維持することを意識しています」と話す。171センチとスラリと伸びた長身から繰り出されるドライバーショットは、キャリーで平均240ヤードを誇る。鍛え続けてきた総合力を、すべてコースにぶつけていく。

日本でプロとして活躍することが今の目標。だがその後には、こんな夢を描いている。「5年以内にアメリカに逆に帰ることを目指しているけど、それはまだ先。おうちが2つある感じなので、両方をメーンにできるようにしたい」。目指すプロ像には「宮里藍さん」の名前を挙げる。ロールモデルとして、ピッタリな存在といえる。

長い海外生活を経験し「サバイバル能力はあります。甘える時はとことん甘えるけど」とニコリと笑う。たったひとりで海を渡り、武者修行に励んできた気持ちの強さは、勝負強さにもつながってくるはずだ。

「まずは予選を通って、そこからは流れで頑張りたい」というのが、今大会の目標。その先に控えるプロテストについては、「頑張りますの一言。普通にゴルフを淡々としたい。“中の上”を生かせるように頑張りたいです」と話す。まずは“実家”で、しっかりと実績を積み上げていく。(文・間宮輝憲)

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