
<資生堂・JAL レディスオープン 事前情報◇1日◇戸塚カントリー倶楽部 西コース(神奈川県)◇6766ヤード・パー72>
開幕2日前の公式練習日。重たい雲が徐々に近づき、遠くに雷鳴が聞こえ始めても、練習場でのシャフトテストは終わらない。初優勝を目指す27歳の宮田成華は、「今年はほんとうに頑張りたい」という決意をにじませるシーズンで、これまでとは違う取り組みにも励んでいる。
今季開幕時のQTランクは52位で、前半戦は8試合の出場にとどまった。ただ、初日、2日目と首位に立った6月の「ヨネックスレディス」で3位に入るなど着実に結果を残し、第1回リランキングは7位で通過。「すごく上位にいるわけではないけど、なんとなくうまくいっている。そこは自信になります」とうなずく。中盤戦以降は、ほとんどの試合に出られる立場まで自らを引き上げた。
そんな宮田が、今年、積極的に行っているのがクラブの見直し。「ほとんど替わりました」と、シーズン中でも、いいと思えば、新しいものに入れ替えることを恐れてはいない。契約フリーだが、これまでは「使ったことのないメーカーさんのものは、どんな感じかも分からないから打ってこなかったんです」という、いわば“保守的”な立場だった。だが、今季は周囲のアドバイスも参考に開拓を続けている。
例えば、ピンの『G440 LST』を使う1Wは、今年5月のメジャー初戦「ワールドレディスサロンパスカップ」で投入したもの。優勝争いを繰り広げたヨネックスレディスは、新たなアイアンとしてミズノの『ミズノプロ243』にチェンジした試合だった。夏までに陣容を固める計画を組み、「ちょっとずつ替えてきて、今、という感じですね」。吟味を重ねて、クラブ探しの旅を続けてきた。
プロテスト合格は2019年だが、ツアーに出場し始めたのは、まだ単年登録制度があった17年から。ただ、「安定してレギュラーにいられた年がほぼなくて、(下部ツアーと)行ったり来たり」と振り返るように、レギュラーツアーにフル参戦したシーズンは、まだない。レギュラーツアーは下部のステップ・アップ・ツアーと比べると、やはりクラブサポートの面でも充実度が異なる。レギュラーの会場では当たり前のように見かける各メーカーのツアーバスも、下部で来ている試合は、ほんのわずか。これまでクラブ選びに本格着手しなかったのは、そういったことも背景にある。
ただ、今年は14本の陣容完成を目指してきた夏場が、ちょうどレギュラーツアーに継続的に参戦できるようになるタイミングと重なった。メルセデス・ランキングでもシード圏内の244.51ptの37位につけており、ここまでの結果はもちろん、「どんどん自分に合うものになっていった」というクラブ面も「自信」につながるはず。今大会は5度目の出場。23年には最終日を首位のひとりとして迎え、最終的に4位に入った試合でもある。
「(コースの)イメージはいいし、相性も悪くないと思っています。もともと暑さにも弱くないから、そこもいいかもしれない。でも、あまり飛ばしすぎないように、気をつけていかないと…ですね。少しずつ、少しずつ、で」
73.9583%のパーオン率は現在ツアー3位。ボールストライキングは1位、トータルドライビングは3位と、もともと定評のあるショット面も、ここまで高い数値で推移している。「トップ10の回数もまだ1回なので、優勝争いを増やしていきたい。徐々に…だけど、いい準備をして、常に上位は狙いたいです」。
こちらも替えたばかりだという1Wのシャフト、グラファイトデザイン『ツアーAD DIHM-6S』の微調整のためのテストが終わると、コースは雷接近により一時クローズされた。そのチェックは今週も入念だ。手になじむクラブたちとともに、夏場の快進撃といきたい。(文・間宮輝憲)
【宮田成華のクラブセッティング】
1W:ピン G440 LST(9°/グラファイトデザイン ツアーAD DIHM-6S)
3W:タイトリスト GT2(15°)
5W:タイトリスト GT2(16.5°)
4U:タイトリスト GT2(21°)
5~P:ミズノ ミズノプロ243
48,52,58°:タイトリスト ボーケイSM10
PT:オデッセイ Ai-ONE ジェイルバードミニ
BALL:タイトリスト プロV1