悲願の初Vを達成したショットメーカー・佐久間朱莉  “ゆっくりテークバック”が安定感抜群の秘訣だった!【優勝者のスイング】

悲願の初優勝を挙げた佐久間朱莉。その勝利を「昨季のスタッツから見ても実力は十分。勝つためには実力と共に、少しの運も必要。やっと順番が回ってきた」とプロコーチの南秀樹は振り返る。昨季はメルセデス・ランキング8位で、ショットデータを見てもトータルドライビングが2位、パーオン率5位、パーオンホールの平均パット数は11位という成績を残していた。「飛んで曲がらないし、どこからでも乗せてくる。かといってパットが下手なわけじゃない」と、この勝利をきっかけにさらなる活躍が期待できるという。

飛んで曲がらないショットメーカー。その特徴は「バックスイングがゆっくりで、フェースローテーションを抑えたスイング。切り返しからの回転スピードが速く、振り切りも良い」とまずリズムについて挙げた。続けて「バックスイングで溜め込んだ力をインパクトで効率よくボールに伝えているのが、小柄ながら飛距離が出るポイント。ややアップライトにクラブを上げていくので、ダウンスイングではループしやすくなりますが、右サイドが下がることなく、クラブが立って下りてきます。仮にミスしても、大きな怪我にならず、安定したアイアンショットを打てている要因だと思います」という。
 
ローテーションを抑えた佐久間のスイングは、インパクトが分厚くなるので「ヘッドスピードの割に、アイアンの飛距離が出ない」という人の参考になるだろう。まずはショートアイアンでインパクトの形を作ってからハーフスイングし、分厚いインパクトを体感したい。「ローテーションを抑えようとすると、バックスイングでシャットになり過ぎることが少なくないんです。先にハンドファーストのインパクトを作ることで、手とクラブとのちょうどいい関係性が保たれ、佐久間さんのように体でクラブを上げやすくなります」。
 
フォロー側では左手甲の向きがチェックポイント。「左手甲が上を向いているかどうか。横や下を向いていたら、手首のローテーションの使い過ぎです」。手首の動きを抑えても、左手甲が上を向かないときは握り方をチェックしたい。左手の人差し指と中指の2ナックルが見えている程度のフックグリップで握れていることを確かめよう。
 
また、手首のローテーションを抑えて体の回転でフォローを出していくには、アドレスよりもインパクト付近で手元が体の近くにあるかどうかがポイントになる。「ヘッドがストレートに動くインパクト付近では、多少窮屈感があるもの。両ワキを締め、手元が体の近くを通れば、腰を回しても手元は離れていきません」。
 
小さなスイングから始めて、徐々にスイングを大きくしていくが、その過程でインパクトの分厚さが薄れてしまうなら、「体よりも腕の運動量が多くなっている」可能性が考えられる。佐久間のように、ゆっくり上げて体とクラブを同調させることを取り入れてみよう。
■佐久間朱莉
さくま・しゅり/2002年生まれ、埼玉県出身。2020年のプロテストをトップ合格。昨季は未勝利ながらメルセデス・ランキング8位と躍進。「KKT杯バンテリンレディス」にて、悲願の初優勝を達成した。大東建託所属。

■南秀樹
みなみ・ひでき/プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高校卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。(株)ボディスプラウト所属。

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