簡単にダボ、トリの難コース…意識すべきポイントは? “忍耐”試される4日間に【大西翔太のSHOWTIME】

今週はプロアマ問わず日本一の女子ゴルファーを決める「日本女子オープン」が、茨城県の大利根カントリークラブ 西コースで行われる。ツアー史上最長の6845ヤードの舞台に選手たちはどう対峙するのか? その展望を青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務める大西翔太氏が読み解く。
■コースもラフも長い…これぞメジャー

「とにかく長い!」。いくつものトーナメント会場を見てきた大西氏も、その全長には舌を巻く。「飛ばし屋でも(2打目で)長いクラブを握っても届かないシチュエーションもあるほど。忍耐の試合になりますね」。全長はツアー史上最長の6845ヤード。421ヤードに設定された7番など、400ヤード超のパー4は6カ所。風向きによっては、苦労させられるホールが目白押しといえる。

コースレーティングは、2015年以降で最難度の『80.6』。ラフも、「くるぶしくらいまで来るところも。ロストボールしても不思議でないくらいです」と大西氏が話すほど長い。まさにメジャーセッティングだ。自身もここで何度もプレー経験があるが、「フェアウェイから打たないとバーディが取れないのがこの大利根です」というほどだ。

「外してはいけないところが毎ホールしっかりとあります。ピン位置も、ショートサイドに外したらまず寄らない場所に切られてくるでしょう。刻むなら、フェアウェイにとにかく戻すだけ、など徹底的に。そうしないと簡単にダブルボギー、トリプルボギーが来ます」

優勝スコアの予想を聞くと、「グリーンが硬く仕上がればイーブンパーくらいになってもおかしくない」という答えが返ってくる。開幕前の段階では、ここが軟らかくなっているのが“救い”だが、その状況も本番でどう変わるかは分からない。バンカーも効果的に配置されており、実力を反映するにふさわしいコースになっている。

■実力者たちがリーダーボードをにぎわせる予感

そのなかで大西氏が活躍を期待するのが、原英莉花だ。ディフェンディングチャンピオンとして挑み、連覇を達成すれば大会3勝目をつかむことになる。「前年覇者としての責任感も見受けられます。毎年コースは違うけど、日本最高峰の試合をモチベーションにしているでしょう。日本の“ミス・メジャー”ですから」。原自身も、「調子よりも気持ち」と意気込んでいるだけに、やはり注目のひとりになる。

他に挙がる名前も、竹田麗央、山下美夢有、小祝さくら、そして岩井姉妹と現在のメルセデス・ランキングトップ5が並ぶ。それもメジャーゆえ。「初優勝者が出るとは考えづらい。どうしても経験値がないと難しいです。ここまでのランキング上位選手が本命になってくるでしょう」。日本女子オープンらしい、緊張感のあるリーダーボードを予想する。

「ラフが長く、グリーンのアンジュレーションもある。手前から転がしていくというのも難しい。キャリーで着弾するとすぐに奥にも、左右にも転がっていきます。グリーンも一筋縄ではいきません」

フェアウェイも絞られ、形状的にドローヒッターが打ちづらいホールも見受けられるなど、とにかくその場その場での対応力が必要とされる。「選手たちのレベルは確実に上がっている。このコースでどれくらいのスコアを出せるのかも見どころですね」。日本の国内女子ツアーがいかに底上げされているのか? そんな“進化具合”も浮き彫りになる4日間になりそうだ。

解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。

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