「いなかったら引退している」 日本一のシニア決定戦で好発進の野上貴夫が長く愛する“相棒”とは

<日本シニアオープン 初日◇12日◇千葉カントリークラブ・川間コース(千葉県)◇6811ヤード・パー71>

今年3試合目のシニアツアーとなった野上貴夫は日本一のシニアゴルファー決定戦で2アンダー・5位タイで初日を終えた。「全部良かったね。鉄壁で刻みでいって、10番と7番の2回しかドライバー使っていないよ」。
今大会のラフの長さは25センチにセッティングされている。ホールによってはファーストカット、セカンドカット、サードカットと3段階になっているところもあるが、ボールがスッポリと隠れてしまうほど深いのが特徴。野上はラフ対策としてドライバーを封印し、大きなミスなく18ホールを完走した。

この日は3バーディを奪取したが、そのうちの一つはグリーン周りの深いラフからのチップイン。「10ヤードぐらいでボールが埋まっていて、(芝が)ぐるぐるのなかにスポッと入っていたんだよ。とりあえず脱出できればいいかなという気持ちで打ったら入ってくれたね」と気楽な気持ちで打った結果、スコアを伸ばす形となった。

初日をプレーし、改めて“無理をしない”戦略の大事さを実感した。「いかにフェアウェイに行くか。ラフに行っても無理と思ったらすぐサンドウェッジで、欲を出さないようにして、もうボギーでいいと思って」とラフからはグリーンを狙うのではなく、次の一打でいい位置に乗せられるところにレイアップすることがカギとなる。

1996年にプロ転向し、同年にアジアンツアーで1勝。国内ツアーでは2005年の「ウッドワンオープン広島ゴルフトーナメント」でツアー初優勝を飾っている。シニアツアーには21年から出場。今年で4年目の53歳だ。そんなベテランには、長く愛する「相棒」の存在がいる。「2008年かな。スライスラインが嫌で、パターのメーカー担当に相談して作ってもらったもの」と愛くるしい表情で話してくれる。

それは08年から使用している幅が広いブレードタイプのセンターシャフトパターでスコッティ・キャメロンの『スタジオセレクト ニューポート スクエアバック プロトタイプ』という“年代物”だ。「いやもう…相棒ですよ。林のなかに入っても長いパットが入ってくれれば1打助かるんだから。ボギーがパーとかにね」と絶対の信頼を置いている。

当時、スライスラインに苦手意識を持っていた。「アドレスでいつもより多めにスライスを読んだりして打っていて…。ちょっと捕まりが悪い感じだった」。そこで同メーカーのツアー担当者に相談したところ、勧められたのがセンターシャフトのパターだったという。「それでパンって打ったら、もう当たる瞬間からきれいに、捕まりやすくなって、スライスラインも入りやすくなった」。そこからはずっと手放せなくなっている。

「これがなかったらたぶんもうゴルフから引退しています」。それほど信頼を置くパターとともに、4度目の日本シニアオープンで過去最上位を狙って行く。これまでの3回は、2回は予選落ちで、22年の25位タイが最高位。初日としては「上々だよ」という滑り出し。残り3日間、この“鬼のラフ”と戦いながら、“相棒”とともにスコアを伸ばして行く。(文・高木彩音)

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