
今週の国内女子ツアーは第21戦、涼しい北の大地で「北海道meijiカップ」が行われる。1週間のオープンウィークを挟み、リフレッシュした顔とともに揃った108人の選手たちのうち、優勝カップを掲げるのは誰か? 青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務める大西翔太氏が展望を語る。
■例年よりもスコアが伸びそうです
開口一番、「グリーンが硬いイメージがあるんですが、今年は軟らかいですね。例年よりもスコアが出ると思います」と言う。最近続いた雨の影響によるもので、開幕前日の木曜日にも小雨が降っていた。グリーンは小さめとはいえ、軟らかい=止めやすいとなれば、ショット力が求められてくる。
「ピンをデッドに攻めていけると思います。とはいえ、洋芝なので、ボールにコンタクトするのは難しい。ラフはボールが見えなくなるほどではないですが、少し長め。洋芝のラフは抜けが悪くなってタテ距離を合わせることがより難しくなるので、コンスタントにフェアウェイに置いていくことも必要ですね」。落としどころがかなり絞られているホールもあり、場面に応じて刻むことも大切になると説く。
そしてパッティングにもポイントがある。それは芝目。1番は右上からの逆目、9番では左から右というように、大きく曲がるラインがある。「毎ホールに強い芝の目があるんです。ラインと目をしっかり読んで、合わせていってほしいですね」。
ヤーデージはトータルでマイナス25ヤードと短くなり、使用されるティイングエリアの場所によっては、よりティショットに神経を使う必要が出てくる。「ティショットで木に当てちゃうパターンもあるので、ミスを最小限に抑えられるマネジメントが重要です。とにかくムリをしないことですね」と話した。
■フィーバーを巻き起こせ!
そのなかで注目選手に挙げたのは渋野日向子。「笹生選手と全米で日本勢ワンツーフィニッシュをしました。日本は今年初戦。海外で活躍している技で魅せてくれるのではないでしょうか」と期待する。
特に、スイングについても良さがみられるという。「トップの位置も、振り抜きも良さが出ていると思います。辻村コーチと力を合わせて取り組んでいることが形になってきていますね」。今年から辻村明志氏とタッグを組み、そのコンビでの日本ツアーもこれが初戦。「どこまで調子を上げてくるのか、楽しみでしかないです。シブコフィーバーを見せてほしいですね」と注目した。
■今季2勝の小祝さくらの強みは…
そして“道産子”からは小祝さくらをピックアップ。冠を務める明治とスポンサー契約を結び、ホステスとして迎える地元大会でもある。強みは飛んで曲がらないこと。そこには小祝のある“技術”が隠れている。
「いい状態にありますよ。そして小畑キャディから聞きましたが、小祝選手はドローが強かったらあえてフェードの球を打って、フェードが強かったらドローを打って…と自分で微調整ができているようです。ボールをコントロールできるのは強みですね」
今季2勝ずつを挙げる岩井明愛、千怜のツインズも「状態はすごくいいと思います。安定性がありますね」と優勝候補筆頭に挙げる。この4人に共通するのは「ハートの強さとパターが潔くて決め打ちができるところ」。ショットメーカーで目の強いグリーン上も攻略できるとなれば、自然と優勝争いに加わることになりそうだ。
解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。