自己ベスト「64」の裏にもピンチはあり… 渋野日向子の窮地を救った“ファンタスティック”な一打

<フリードグループ・スコティッシュ女子オープン 初日◇3日◇ダンドナルドリンクス(スコットランド)◇6494ヤード・パー72>
 
8バーディでボギーなし。渋野日向子がスコットランドの本場リンクスで躍動した。海から吹き込む強風の影響もあり、この日ボギーフリーだったのはわずか3人。そんなタフなコンディションのなか、今年の「ドライブオン選手権」の第2ラウンドに続く自己ベストタイの「64」をマークし、単独首位発進を決めた。プレー後に臨んだUSLPGAのインタビューでは、聞き手が興奮した様子で『ファンタスティックラウンド!』と表現したほどだ。
前半13番からの4連続バーディや、後半6番からの3連続バーディは圧巻。14、15番では50センチにつけたショットでスコアを伸ばしたかと思えば、8番では8メートルをねじ込んでのバーディと、まさに“やりたい放題”と言ってもいい内容だ。
 
スコアだけを見ると順風満帆な一日のようにも思える。しかし難関リンクスでピンチがなかったわけではない。実際に渋野が“きょうのNo.1ショット”に選んだのは、8つ奪ったバーディのなかからではなく、しぶとくパーにつなげた一打だった。それが「流れを止めそうだった18番での4打目」だ。
 
このパー5でのティショットは、左に曲がってラフへ着弾。しかもボールはバンカー際の斜面に止まり、ライも悪い。続く2打目は打った瞬間、大きく左に飛んだことが分かる一打に。運が悪いことに行き先はブッシュのなかだった。3打目は出すだけとなったが、勝負の4打目をベタピンにつけてガッツパーを奪った。
 
ハーフターン目前で訪れた最もボギーの予感がしたホールを無事切り抜け、後半につなぐことができた。序盤の11番でも1.5メートルほどのパーパットを沈めてパーセーブするなど、ビッグスコアを出した一日は、同時に粘りの一日でもあった。
 
最近まで日米通じて5試合連続予選落ちという経験も味わうなど、苦しい時間を過ごしてきたなかで出した「64」とあって、その意味は大きい。ただ本人は、「(いい方向に進んでいると)思いたいけど、ほんと一日だけなんで」と気を引き締める。不振の原因となった左手痛の緩和のため、力みのないスイングを心がけるなど試行錯誤は続いている。当然、緩みなど感じさせない。
 
2日目は午後組でのプレーとなるが、初日はディフェンディングチャンピオンの古江彩佳が、「去年もここまではなかった」というほどの強風が吹き荒れた。先週の「エビアン選手権」を9位で終えたアタヤ・ティティクル(タイ)が「79」、メジャー通算2勝のミンジー・リー(オーストラリア)が「80」と実力者さえも苦しめた時間帯だ。「明日も風が強いと思うので、しっかり自分のプレーができるようにがんばります」。難所もしっかり耐え抜いて、楽しみな位置で週末を迎えたい。(文・間宮輝憲)

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