
<アムンディ・エビアン選手権 事前情報◇26日◇エビアンリゾートGC(フランス)◇6523ヤード・パー71>
渋野日向子が1年ぶりにフランスに戻ってきたが、当時の境遇といまは、少し似ているところがある。
「去年も同じ時期ぐらいに、すごいゴルフ自体も良くなくて、自分のメンタルもああ…という感じになってたな、っていうのは思う」。昨年は4月「ロッテ選手権」で2位に入ったが、その後、エビアンまでは6戦中3試合で予選落ち(ほか1試合は棄権)。そして今年は、日米を合わせれば5試合連続で予選落ちという状況で、フランスへ入った。
苦しい夏場を迎えているが、その似ている状況とは裏腹に、抱いている感情は当時とまったく異なっている。「けっこう予選落ちが続いてますけど、そんなに落ち込んではいないです」。そうやって少し笑うことができるのは、いまの自分の現在地を、しっかり把握できているからだ。
2月に青木翔コーチと再びタッグを組み、スイングのさらなる改造に取り組んでいる最中。途中には左手首の痛みにも悩み、グリップの握り方を変えてみるなど、試行錯誤が続いていた。だが、いまはゴールに向けての道のりが見えてきた。
「去年よりもそれほど(状況を)深くは考えていないというか。自分のやるべきことが自分のなかで分かっているぶん、仕方がないかなと思いながら。いかにスイングに自分のやりたい動きを結び付けていけるか、いまはそこにフォーカスできるように意識付けをしている」。結果はもちろん求めたいが、まずは取り組んでいることに愚直に向き合う。いまはこの姿勢を一番大事にしている。
“痛みを利用して”取り組むスイングについても、それは確かにいい方向へと向かっている。「握りすぎているから痛いんだとかそういう意識に変わるぶん、良かったと思う。今までは力んで力んでという悪循環だった」。最近は痛みも減って、というよりは、ほぼ感じない状態でプレーできている。これは大きな前進でもある。
ショットのフィーリングも徐々に良くなり、「きのう(火曜日)の感触では、最近で一番。自分の体をコントロールできる回数が増えたかなというショットが多かった」と、少しずつ納得できる回数も増えてきているという。試合での再現性も課題のひとつだが、「ズレているところを減らせるようにしたい」と試合に取り組みながら、次のステップへと進んでいる。
昨年とは180度異なる気持ちで迎えることができるエビアンでの戦い。レマン湖を望む景観美のなかでプレーする今大会が、渋野の欧州連戦を明るくすることに期待したい。(文・笠井あかり)